文在寅大統領「徴用工問題」発言の狙いは、北朝鮮との連邦制国家樹立!?

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大統領最側近も筋金入りの親北派

 安倍首相との電話会談でトーンダウンさせたとはいえ、だからこそ西岡氏は文大統領の「確信」が見いだせるという。

「頑なに自説に固執すれば、失敗のリスクも高まってしまうと、文氏は知っているのでしょう。ビジョンを現実化するためには、逆に柔軟でなければならない。大統領の任期冒頭から一気に日韓関係、米韓関係を悪化させるのは、さすがに好ましくないわけです。徴用工の問題について本音は吐露したが、日本側が反発すれば一度は引っ込める。ですが、次も似た発言をする。そうして着実に前進し、任期後半になるにつれ、日米韓の3カ国関係が悪化するように仕向けていく」

 文氏はなぜ、日米韓の関係を悪化させようとしているのか、それは北朝鮮との関係回復を実現するためだ。

「記者会見で徴用工問題に触れたのは、最終的には北朝鮮との連邦制で朝鮮を統一したいという、長期的なビジョンを、さらりと見せたと考えられます。そもそも大統領自身が親北左翼ですし、最側近の大統領秘書室長を務める任鍾晳(イム・ジョンソク)氏も革命的左翼グループの元リーダーで、国家保安法違反で懲役刑を受けた過去を持っています。思想的な転向など一度もなく、北朝鮮が最初に核実験を行った時には『アメリカが北を追い込んだのが原因』と、あべこべにアメリカを非難。財団を作って、金日成総合大学に多額の寄付を行うなど、むしろ筋金入りの革命家と言った方が正確な人物を重用しているのです」(同)

 次第に日米と距離を置き、逆に北朝鮮とは距離を縮めていく。この長期的外交ビジョンを、西岡氏は「韓国のベトナム化」と表現する。ベトナムの歴史を振り返れば、ベトナム戦争の勝利によって北ベトナムは一気に全土を掌握したのではない。1975年のサイゴン陥落後、まずは北の傀儡政権たる南ベトナム共和国が統治を行い、翌76年に北ベトナムが南ベトナムを吸収併合し、ベトナム社会主義共和国が全土を支配した。

「慰安婦や徴用工など、歴史認識問題をテコにして、故意に日米韓の関係を悪化させる。そして北朝鮮との融和を実現し、南北の連邦制を実現する。これが『韓国のベトナム化』のプロセスですが、私の知る韓国の保守派は、誰もが文政権に憂慮を示しています。極端な話かもしれませんが、北朝鮮を喜ばせるため、韓国で北朝鮮に批判的な人々は全員、政治犯として逮捕されても不思議はないからです」

 妄論は正論より強い――そんな事態を現実化させないためにも、日本は粘り強く歴史的事実を示し続けるしかないようだ。

週刊新潮WEB取材班

2017年9月5日掲載

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