沢口靖子は音痴、斉藤由貴は補欠…伝説のマネが明かす「東宝シンデレラ」秘話

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良きライバルの2人

 沢口と違ったのは、彼女の親御さんが異常に熱心な方だったこと。覚えているのは、娘のために専用の緞帳をあつらえて、行く先々のコンサート会場に飾ってくれと求めてきたことです。娘に対する愛情はよく分かりますが、そんなことを受け入れたら会場は借りられません。これには困りました。

 そんな斉藤で思い出すのは不倫騒動です。彼女は、どちらかというと明るいタイプではありませんが、歌手・尾崎豊との不倫騒動で、精神的にも大変な時期がありました。写真誌にスクープされたのですが、もちろん会社としても、その事実は露見前に承知していました。

 でも、東宝芸能という会社は女優のプライベートにまでは踏み込まないんです。私自身も「付き人とマネージャーは大違い。付きすぎず、離れすぎずのスタンスで」と若手に事あるたびに言っていました。女優の売り込みや、スケジュール管理は丁寧すぎるほどやる。しかし、それ以上、踏み込むことはしない。だから、というわけなのか、女優の「男関係」に会社はずいぶん振り回されました。

 かたやグランプリ、一方は補欠のような存在でしたが、沢口と斉藤は、ある意味、良きライバルでした。斉藤が「卒業」で人気が出る少し前に沢口はNHKの朝ドラ「澪(みお)つくし」(85年)のヒロインを射止めます。

 朝ドラのヒロインは公平なオーディションで決まる。しかし、朝ドラのプロデューサーも「シンデレラ」を使ってみたいという気持ちがあったのでしょう。「澪つくし」は、数ある朝ドラの中でも、高い評価を得ていますが、実際、これで彼女の人気はブレークしました。

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