ベリベリと裂ける血管… 「大木凡人」「快楽亭ブラック」が証言、恐怖の大動脈解離

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致死率80%「大動脈解離」から逃れる5つの鉄則(上)

「この中にお医者さんはいませんか!」

 7月6日、公演の初日を迎えた東京芸術劇場に、悲痛なアナウンスがこだまする。だが、俳優・中嶋しゅう(享年69)の意識は戻らなかった。彼の命を奪ったのは「急性大動脈解離」である。

 舞台で役を演じている最中の急死に、せめて安らかな最期であったことを願うばかりだが、残念ながらこの病は、多くの場合、塗炭の苦しみを伴う。振り返るのは、同じく大動脈解離を発症した司会者の大木凡人(72)だ。

「発症したのは2015年1月のことです。ボクはトイレで新聞を読む習慣があって、その時も新聞を読み終えて、さあ飲みに行くかと立ち上がった瞬間のことでした。突然、胸や背中のあたりに激しい痛みが走ったのです。音にしたら、バリバリッ!って感じで、あまりの痛さにギャー!と叫んでしまったほど。とにかく我慢するために“痛てぇ! このヤロー!”と叫びながら、壁をつたって何とかリビングルームにたどりついた。そこで携帯から救急車を呼んだのです」

 東京・目黒区の救急病院に担ぎ込まれた大木の血圧は、普段、上が120前後なのに183まで急上昇していた。

「病院に運ばれたあとの2〜3日はほとんど記憶がありません。大阪から駆けつけてきてくれた弟によると、すでに危篤状態だったそうです。後で聞くと、心臓の裏側からお腹にかけて大動脈が60センチにわたって裂けていた。血管も詰まっており、左腕と右太腿の付け根にある動脈も手術しなくてはなりませんでした」

 が、迅速な処置もあって生還する。今は、数カ月に一度の検診で済む程度まで健康を取り戻した大木は振り返るのだ。

「あの痛みといったら、経験したことのないものでした。ボクは胃痙攣や急性盲腸炎をやったことがありますが、比べものになりません。胃痙攣の痛みが1としたら、大動脈解離は100ぐらいの激痛です」

 もう1人、落語家の快楽亭ブラック師匠(65)が大動脈解離を発症したのは05年10月のことだ。

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