地震予知、GPSデータの解析で 京大教授の挑戦

社会週刊新潮 2017年7月20日文月増大号掲載

 大地震の予知――国が巨額の研究費を投じるも成果が出ず、もはや“永遠の壁”とさえ言われてきたその予知に、ある京大教授が挑もうとしている。

 科学部担当記者の話。

「この6月から、京都大学と民間企業がタッグを組んで、大規模地震の発生を事前に予測する技術の共同実験が始まりました。すでに運用されている『緊急地震速報』は、揺れの数十秒前が限度。しかし、この研究が進めば、1時間前には巨大地震発生の予兆が掴めるということですから、減災に大きく役立ちます」

 研究の指揮を執る京都大学情報学研究科・梅野健教授の話。

「これまでの地震予知研究は大まかに言って、地震計を置き、微細な振動を捉えて予測するというものでしたが、私たちの研究は、それとは全く違う発想です」

 どう違うのかというと、

「地球の上空には、電離圏と呼ばれる、電子が沢山飛んでいる層があるのですが、マグニチュード7以上の巨大地震が発生する直前に、震源付近の上空の電子数が変化することがわかりました。ナマズが地震の前になると暴れる、と昔から言われますが、こうした変化を、彼らが敏感に捉えていたからかもしれませんね」

 電子の数の変化は、GPS衛星と、地上の受信機との通信記録の解析で明らかになったという。

「過去の通信データ解析で、東日本大震災と、昨年の熊本地震の直前にも変化が起きていたことがわかりました。今回の研究では、過去のデータ解析をさらに進めると同時に、電子数の変化をリアルタイムで測定していくつもりです」(同)

 将来的には、

「電子数の変化をGPS以外の衛星からも観測し、さらに地上の受信機も、全国に増設していく。そうすれば、どこのエリアでいつ起こるのかを、より細かく予測できます。そのためにも今後、気象庁などとも連携し、研究規模を拡大していきたい」(同)

 研究期間は3年を予定している。