昏睡の大学生死亡 トランプの「北朝鮮」叩き激化

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 北朝鮮に約1年半抑留されていた米バージニア大生のオットー・ワームビア氏(22)が、6月19日に故郷オハイオ州の病院で亡くなった。

「昏睡状態のまま平壌からチャーター機で13日に到着。即入院しましたが、診断結果は“無反応の覚醒状態”というもので、自発呼吸があって瞬きなどもするが、言葉を理解している様子がないという説明でした」(在ワシントン記者)

 脳細胞が広範囲で壊死。もはや治療の効果は望めなかった。一方、拘束中の拷問が連想されるが、外傷の跡などはなかったという。

「何か薬の処方を間違えるなど、北にとっても意図せざるアクシデントがあったのでしょう。拘束中の外国人は、“人質”で外交カードですから、過去の例をみても、意外に拷問などはしてきていないのです」

 と「デイリーNKジャパン」の高英起編集長は言う。

「また、人質を解放するときには、元大統領といった高位高官に迎えに来させて国家的な面子を立てるのが通例。しかし、今回は実務担当者だけで、国内で死なれては困る、とばかりにあわてたのが見て取れます」

 それでも今回の解放交渉が進んだのはトランプ政権になってから。オットー氏の父親も現政権には謝意を示し、前政権には「何回もワシントンに足を運んだのに……」と恨み節だ。

 だが、解放を政権の手柄にしようとしていたトランプ政権は、彼の死去で怒りがさらに沸騰。すかさず残る米国人3人の解放を北朝鮮に要求した。

「3人とも韓国系の人で、1人は中朝国境地帯の貿易関係者ですでに拘束も2年近く。残る2人は、まだ2カ月にもなりませんが、キリスト教系の援助で建てられた平壌科学技術大学の教職員。北が簡単に解放するとは思えませんが、空母派遣などトランプ氏の軍事圧迫も激しくなりそうです」(前出記者)

 月末には米韓首脳会談も予定。もう韓国の親北政策も許されないはずだ。

週刊新潮 2017年6月29日号掲載

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