出光興産の対立、背後に「イメルダ夫人」の存在 29日株主総会

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■「出光興産」統合を阻む黒幕は「イメルダ夫人」(下)

 昭和シェル石油との経営統合をめぐり、出光興産(以下・出光)では合併を進めたい経営陣と反対する創業家の緊張状態が続いている。この対立の後ろには、創業家当主・出光昭介名誉会長の妻、千惠子夫人の存在が。創業家は、昭介氏の次男の正道氏の社長就任の要求を経営陣に突きつけたという。

 彼女を知る人物は「千惠子さんは出光の株主ではないし、この騒動では表に出て来ませんが、出光の社内では昔から“イメルダ夫人”と呼ばれるほど恐れられていました」と明かす。

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 まさか本物のイメルダ夫人のように靴を3000足も持っているわけではないだろうが、実際、出光では千惠子夫人にまつわるエピソードに事欠かない。

 出光OBが言う。

「千惠子さんは福島県会津の出身で元JALの客室乗務員です。実家は土建業やリゾート業、石油の販売業を営んでいましたが、妹がやっているガソリンスタンドが経営難に陥ると石油を安く卸して支援したり、出光が融資してあげたものです。また、会津出身の女性は相性がいいという理由で、お手伝いさんを地元・会津から雇っていたのですが、出光の郡山支店にはお手伝いさんの採用を担当する社員が常駐していました。ところが、それでも頻繁に辞めるので、担当者は困っていたものです」

 いずれも非上場企業の頃だから出来たことだが、こうした公私混同や過大投資がたたって、バブル崩壊後、出光は経営危機に瀕する。02年、創業家以外から社長になった天坊昭彦氏は、「上場するなら会社がなくなってもいい」と嫌がる昭介氏を説得して、06年に株式公開にこぎ着ける。だが、千惠子夫人は、これが許せなかったという。

「千惠子さんは、天坊氏に騙されて株式上場したと思っているのです。上場後、とある婦人会の席で“天坊にはすぐ辞めてもらいますから!”と怒ってましたから。上場したことで、以前のように出来なくなったからでしょうか。そんな千惠子さんにしてみれば、経営統合で創業家の持ち株比率がさらに下がってしまうのが我慢ならない。現状のままなら、株の配当だけで年間27億円ほども創業家側に入ってきますからね。それを主導する月岡社長に対しても不満があるはずです」(同)

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