トヨタの喉元に「EV」販売拠点 テスラの挑戦状

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 経済界では、蟻が巨象に噛みついたと驚きの声が上がっている。米国の電気自動車(EV)メーカー「テスラモーターズ」が、トヨタ自動車の喉元に刃を突き付けたからだ。一見、無謀な挑戦にも思えるが、このベンチャー企業は簡単には踏み潰されそうにもないという。

 2003年創業のテスラが、日本進出を果たしたのは7年前のこと。この6月3日には、国内6番目となる販売拠点を“トヨタの牙城”である名古屋市内に設けたのだった。

「7年前、トヨタの豊田章男社長とテスラのイーロン・マスクCEOが意気投合し、トヨタがテスラへ55億円を出資していました」

 こう語るのは、全国紙の経済部デスクだ。

「名古屋の販売店オープン初日の朝刊で、トヨタが保有するテスラ株を昨年末までにすべて売却し、業務提携も解消したと報じられたのです。トヨタが発表したわけではないので、“テスラによるトヨタへの挑戦状”と考えた財界人は少なくありません」

“出城”を築いたテスラだが、トヨタは愛知県内に系列の販売店を約470持ち、鉄壁の販売網を構築している。しかも、両者の企業規模は蟻と巨象ほどの違いがあるのだ。

「昨年の年間販売台数を見ると、グループ全体で1000万台を超えるトヨタに対して、テスラは7万6230台。売上高も、テスラは16年12月期で約7700億円で、トヨタの3%程度に過ぎない。そもそもテスラは昨年、約850億円もの損失を出した一方で、トヨタの営業利益は1兆9000億円を超えている。業務提携解消は、トヨタが独自にEV開発チームを立ち上げたので、テスラの存在が不要になったのだと思います」(同)

 トヨタも、数年後にはEVの大量生産を行う予定だ。

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