大本山「永平寺」、門前に高級旅館 2019年に開業予定

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 永平寺といえば、戒律に厳しい曹洞宗の大本山。福井県永平寺町の深山に鎮座する。

 禅寺としても名高く、聖域内に簡素ながらも立派な宿坊「吉祥閣」を設けており、早朝の座禅や精進料理を体験できる。

 その永平寺が、新たな宿泊施設を門前に建設する。福井県、永平寺町と協力・連携して推進している「永平寺門前の再構築プロジェクト」の一環である。

 事業主体は、「大本山永平寺」、総合調整・監修に「森ビル」、旅館運営には「藤田観光」があたる。

「不動産貸付業は、宗教法人の収益事業にあたります。藤田観光さんとは適宜、収益配分することになるでしょう」(永平寺関係者)

 創建1244(寛元2)年の古刹といえども、世の趨勢に安閑としていられなくなったということか。

 何度か永平寺の宿坊を訪ねた体験もある宗教学者の山折哲雄さんは、

「とても良いことだと思いますがね。日本文化の奥座敷に関心を持つ質の高い外国人観光客が近年急増しています。そうした人々に禅の世界の深部を体験してもらうのは結構なことです」

「2019年に開業予定の旅館は、敷地内から切り出した『永平寺杉』を使用、全18室の和洋室に男女別の大浴場を備えます。レストランでは永平寺監修の精進料理も食べられる。コンセプトは『旅館と宿坊の中間に位置する施設』で、英語、中国語、韓国語に対応できる『禅コンシェルジュ』も置くといいますから至れり尽くせりです」(ホテル評論家)

 藤田観光、取らぬ狸の皮算用は?

「ロイヤリティですか? それはまだ公表できません。『建物賃貸借契約』なので、内容は一般的なものです」(藤田観光広報部)

 道元禅師によって開かれ、かの西田幾多郎も自らの原風景とした永平寺。

 その静寂が失われないことを切に祈る。

週刊新潮 2017年6月1日号掲載

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