「チンコロ合戦になるかもしれへんな」 神戸山口組分裂騒動は“山健同士の揉め事”

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■「チンコロ合戦」

 所詮、山健同士の争い――。これについては、警察当局も同様の見方で、

「4月末に、“GWの休み明けに山健組の中田広志が若頭に推挙される”という情報が流れた。それを織田が聞きつけ、中田が若頭になったら山健組の中に自分の居場所がなくなる、として飛び出した。今回の分裂騒動の根っこはそれです」

 と、兵庫県警関係者。

「中田は山健組の保守本流を歩んできたエリート。一方の織田は外様ではありますが、井上組長の汚れ仕事を引き受け、右腕と呼ばれるまでになった。どちらか一方だけを引き上げたら山健組が割れる、というのは以前から危惧されていたことです。そこで、井上組長を総裁に棚上げして中田を山健組の組長、織田を神戸山口組の組長に据える、という案も検討されたが、結局、幻に終わりました」

 織田氏が井上組長の汚れ仕事を引き受けてきた、というのはヤクザの世界では有名な話らしく、その汚れ仕事の具体的な中身までもが、あたかも事実として定着しているかのような語られ方をする。いずれにせよ、

「井上と織田は元々は切っても切れへんような関係にあったわけや。その2人が敵対関係になったわけやから、これはチンコロ合戦になるかもしれへんな」

 と、先の六代目山口組直系組長は言う。

「まあ、これから見ていったらええと思いますよ。織田や池田(幸治・真鍋組組長、仁侠団体山口組ナンバー2)に対して、山健組の若頭になるであろう中田がどない攻めていくか。中田は、勝手なことして出よった織田や池田を何とかせないかん立場ですから。まあ、織田は周辺に人がおるから殺すんはなかなか難しいけど、若い衆が数人しかいない池田は簡単。このままいったら池田はもう死ぬしかないんちゃうかな」

 物騒な発言が飛び出したが、実際、すでに不穏な空気は漂っている。

「5月6日未明、任侠団体山口組の織田代表のガードマンのような役割をしていた男が神戸市内を車で走行中挑発され、車から降りたところ暴行されるという事件が起こりました」

 と、全国紙社会部デスク。

「ただ、警察庁としてはこうした小競り合いよりは、今回、神戸山口組が分裂したことにより、六代目山口組の一人勝ちのような状況になりつつあることに危機感を抱いている。今後は弘道会に対する締め付けをさらに厳しくすることになるでしょう」

 高笑い、怨念と罵り合い、冷静な情勢分析。“四つ巴”の戦いに臨むプレイヤーの思惑は、かくも複雑に交錯している――。

特集「四つ巴『六代目山口組』『神戸山口組』『任侠団体山口組』『警察』それぞれの思惑」より

週刊新潮 2017年5月18日菖蒲月増大号掲載

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