運動は○、スポーツは× 「血管」の正しいケアと鍛え方

食・暮らし週刊新潮 2017年4月20日号掲載

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■血管を「詰まらせない」「破らせない」抗老化の修復法(下)

ウオーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動がよい

 日々の生活習慣により、我々の血管は知らず知らずのうちにダメージを受け、その代償は脳卒中や心筋梗塞といった疾病の形で現れる。寿命をも左右する血管の「いたわり方」「鍛え方」を、専門家たちが解説。適切な食事について解説した前回に続き、今回ご紹介するのは「入浴」「マッサージ」「運動」におけるポイントだ。

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 入浴でも、ひと工夫がものを言う。

「41度のお湯につかり、温まったら湯船から出る。これを繰り返し、ゆっくりじっくりと体を温めることで、血管の働きを改善することができます」

 とは、大分県にある伊藤医院の伊藤恭院長である。

「それ以上熱いと、体内に酸化物質が増えて血管を傷つける危険があるため、42度以上のお湯や90度近いサウナはお薦めできません。汗がダラダラ出るまで入るのではなく、ぽかぽかと温めることが大切です」

 同院のある長湯温泉は、国内では珍しい高濃度の炭酸を含む泉質で知られ、

「私の医院でも、院内温泉で温泉療法を行っています。炭酸泉につかると、細かい炭酸ガスの分子が皮膚から血管に入り込み、内膜を覆う血管内皮細胞を刺激してNO(一酸化窒素)を産生させます。このNOの働きで血管が拡張されるのです」(同)

 狭心症や動脈硬化防止に有効だという炭酸泉は、欧州では古来「心臓の湯」と称えられてきた。その湯船で試みればいっそう効果覿面(てきめん)なのが、大阪市立大学医学部の井上正康名誉教授が実践する「血管マッサージ」である。曰く、

「生活習慣病の多くは動脈の不具合に起因します。体の浅い部位を走る静脈と異なり、全身に高圧で血液を循環させる動脈は、筋肉と骨との間など深い部位を走っている。筋肉が緊張すると動脈も締め付けられますが、マッサージでほぐせば血流は改善され、血管もよい状態を維持できます」

 方法は至って簡単で、

「入浴時や就寝前に15分ほど、指で全身の皮膚を骨に押し付けながらずらすようにしごけば、深い場所の動脈やリンパ管も刺激できます。新陳代謝も改善されて皮膚の美容にもよい。起床時に布団の中で顔を揉めば、ファンデーションのノリも大変良くなります」(同)

 動脈には酸素や栄養素が流れており、

「酸素から生じる活性酸素のスーパーオキシドやNOのバランスにより、動脈の収縮と弛緩がコントロールされます。『活性酸素は健康や美容の大敵』と誤解されていますが、自律神経と協同して動脈を若く保つ、重要な物質でもあるのです」(同)

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