「週刊新潮」報道、戦後初の死刑囚逮捕へ 事件を闇に葬ろうとした警視庁の怠慢

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■「死刑囚」の告白 事件を闇に葬ろうとした「警視庁」ジレンマ八百余日(上)

 死刑囚が手紙で「永田町の黒幕」の殺害を告白してから八百余日。警視庁はようやく、確定死刑囚としては戦後初となる逮捕に踏み切った。事件を闇に葬ろうとした警視庁の怠慢、告白の目的、迫真性を帯びた共犯者の証言。怨念が複雑に絡み合う事件の全貌――。

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矢野治死刑囚

 警察が把握していない2件の殺人――それは地中深くに埋もれた、錆びて朽ち果てかけた時計のようなものだった。その男が口を噤んだまま絞首場に臨んでいたら、永遠に闇に埋もれたままだったろう。しかし男は犯行を告白する手紙を警察に出すだけではなく、弁護士を通じて本誌(「週刊新潮」)にも送付してきた。そのことにより、約20年を経て闇から引きずり出された殺人事件。今回、男が逮捕されるに至り、それは再びゆっくりと時を刻み始めた。

 男の名前は矢野治(68)。指定暴力団・住吉会の幸平一家矢野睦会の前会長である。矢野は2003年に発生した「前橋スナック銃乱射事件」で殺人の共謀共同正犯に問われ、14年に死刑判決が確定。その身柄は東京拘置所にある。

 今回の矢野の逮捕容疑は不動産ブローカー、斎藤衛に対する殺人だ。「龍一成」という稼業名を持ち、あの「オレンジ共済事件」にも登場する彼がいかにして殺されたのかについては後で詳述するとして、まずは矢野が逮捕されるに至る経緯に触れておきたい。

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