安藤優子、スポットライトの裏での「仕事」と「介護」両立の10年間

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■「呼び出し問題」

 そうした環境のなかで、

「私は、金曜日の夜に仕事を終え、車で1時間半かけて埼玉の母の家に向かい、日曜日のお昼まで介護をして、月曜日からまた働くという生活を繰り返しました。具体的には、土曜日に日付が変わる頃、母の家に着いて、少し眠ってから母の1週間分の食事のストックを作る。その合間に、母は犬を飼っていたんですが、認知症のため部屋中が犬の糞まみれになっていたのでその後片付けをして、洗濯をし、話し相手をする」

 そこに、介護体験者に共通する「呼び出し問題」が加わる。

「用もないのに、母が30秒に1回、私の名前を呼ぶんです。こういった生活でしたから、自分のことなんて何もできません。その上、報道の仕事柄、海外出張や遠方への取材が入ったり、いつ仕事で呼び出されるか分からないプレッシャーも加わって、毎週ヘトヘト。『何もかも放り出したい』と、投げやりな気持ちになりました」

 華やかなテレビのスポットライトを連日浴びている彼女も、超高齢社会における介護という重い現実からは逃れられなかったのだ。(文中敬称略)

 ***

(5)へつづく

特集「『橋幸夫』『安藤和津』『荻野アンナ』『安藤優子』『生島ヒロシ』他人事ではなかった『介護殺人』の恐怖」より

週刊新潮 2017年4月6日号掲載

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