雪が溶けたら大穴が…つがる市「隕石騒動」ミステリー

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

大穴の原因は隕石か?

 3月上旬、青森県つがる市に広がる約3ヘクタールの麦畑にポッカリと開いた、直径3メートル、深さ2メートルの大穴が、騒動の発端である。

 畑の所有者、小田桐賢一さん(48)が語る。

「11日か12日、記憶が曖昧ですが、朝8時頃、『ドン』という大音響に驚いた。閃光も見たので落雷かと思ったがどうも違う」

 気象庁に問い合わせたが、両日とも現地に落雷はない。近在には、この大音響を聞いた者が他にもいることが確認できた。

 穴を“現認”したのは、父の明さん(73)だった。

「13日、自宅から2キロ離れた畑に行ってみると、まだ雪に覆われていた畑の真ん中に黒い土がそこだけ盛り上がって目立っていた。数日して雪が溶けてみると穴が大きく開いている。こりゃ隕石だ、と閃いたのです」

 駐在所から県警に報告が行き、一時は機動隊まで動員され、見物人も30人に上った。放射能測定の結果、危険物が埋まっている可能性はないという結論に。

 賢一さんは、諦めきれず31日と4月1日、ショベルカーで更に4メートルほど掘削したが、「隕石」は見つからない。

「残念です。出てくれれば夢のある話だったのに。掘り返した土は保管して今後も調べるつもり」(賢一さん)

 日本スペースガード協会の浅見敦夫さんの話。

「29日に知り、31日午前8時に現場に立った。可能性として、①いたずら②航空機の部品落下③天体衝突の順に想定し現地に入ったが、現下の判断材料だけでは結論に至っていない」

 仮に隕石とすれば、穴の大きさから20センチ大と想定され、衝撃で粉々に砕けるケースも多いという。

「穴が隕石による〈衝突クレーター〉なら、本邦初。埋めずに畑の中に残せば学術的な価値は極めて高いし、町興しの一助にもなったでしょうに。惜しい」(同)

 隕石が出れば、今回の「本邦初」のようなケースは相当な高値が予想される。

 この「隕石」ミステリー。しばらく尾をひきそうだ。

週刊新潮 2017年4月13日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。