プーチンが手を焼く若者主導“反汚職デモ” 大揺れのロシア

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プーチン大統領

 プーチン大統領がお膝元サンクトペテルブルクに滞在中の3日、地下鉄で自爆テロ事件が発生した。死者14人を出した犯行の目的や背景の解明が進むが、前週3月26日には80を超える都市で数万人規模の反政府デモが行われるなど、ロシア国内は大揺れだ。

「デモの発端は野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(40)がメドベージェフ首相の不正蓄財を糾す動画を公開したこと。ソチの“冬の家”や高級ヨット、イタリアに所有するワイン畑などをドローンによる空撮をまじえ1時間近く紹介、またたく間に1100万回も視聴されました。中でも敷地面積4ヘクタール、資産価値50億ルーブル(約100億円)と言われるモスクワ郊外の豪邸は、広大な池にアヒル専用の家まであると非難の的になったのです」(国際部記者)

 かくして“反汚職デモ”に繰り出した市民は黄色いアヒルの被り物を被ったり、アヒルのプラカードを掲げて“腐敗一掃”を叫ぶとともに、メドベージェフの庇護者であるプーチン大統領にも批判の声を浴びせたのだ。

“アラブの春”ならぬ“ロシアの春”も間近かとの囁きも広がるが、北海道大学名誉教授の木村汎氏は言う。

「2011~12年の大規模デモと異なるのは、前回は都市部の住民や中産階級が中心で、今回は地方の住民、とりわけ若者の参加者が多いこと。原油安、ルーブル安、経済制裁の“三重苦”にあえぐロシアの国民生活が逼迫している中での汚職疑惑です。汚職絶滅をスローガンに掲げるプーチンも強硬にデモを弾圧しえない。なかなか厄介です」

“内憂”に加え“冷戦以来最悪”の対米関係という“外患”にもさらされるプーチン氏。来年、大統領選を控えるこの強かな男はテロ解明をどんなカードに変えるか。

週刊新潮 2017年4月13日号掲載

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