効き目ゼロ「難消化性デキストリン」が呼び起こした「怨嗟」と「矛盾」

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■「謝罪して欲しい」

 そして今回の「コカ・コーラ プラス」の根拠論文では、減少率は7・9%となっている。しかし、

「論文には、有意な差があったとはどこにも書かれていない。この実験結果には有意差と呼べるまでの信頼性がないのです。この実験では、『P値』が0・054となっている。『P値』はデータのばらつきが大きいほど高い値が出ますが、生物学の世界では、それが0・05以上の場合、その結果には有意差があるとは言いません」

 山本氏のこの指摘とも関係する“ある疑問”が、先に触れた「消費者委員会新開発食品調査部会」での審議で取り沙汰されている。実験では、参加者94名のうち17名が最終的に解析対象から除外されたのだが、それについて委員から次のような意見が出たのだ。

〈途中でこの人は生活が乱れているのではないかということで除外するというのは、恣意的と言うと失礼かもしれませんけれども、その可能性も否定できないわけで、九十何名のうち17名がそうだというと割にパーセンテージとしては大きいので、これはいかがなものかという気がいたします〉

 この委員の指摘について山本氏は、

「私もその通りだと思います。まず、そもそも、途中で解析対象者から除外された人数が94名中17名もいるのは多すぎます」

 と言う。なぜなら、

「実験の参加者はあらかじめ食事の摂り方や生活記録のつけ方について、注意を受けている。にもかかわらず、その内容がおかしいという理由で、これだけの人数が途中で除外されるのは明らかに不自然。この実験では、中性脂肪値のばらつきを小さくするために、言い方を変えれば『P値』を下げたいがために恣意的に途中で解析対象者の数を減らしたのではないか。委員はそう疑ったのでしょう」

 除外された人数の多さに、実験を行った企業の“苦労”が表れている、ということなのかもしれないが、大本の〈松谷の07年論文〉について、早々にバツ印をつけていた組織がある。

〈この参照資料からは、主張されている効能を科学的に立証するためのいかなる結論も導き出し得ない〉

 11年にそう判断した欧州食品安全機関(EFSA)は、難デキの食後血糖値上昇抑制効果についても、〈因果関係は確認されていない〉と結論付けている。

 さて、ここまで縷々述べればもうお分かり頂けただろう。難デキには何の効果もないのだ。

 怒りが収まらないのは、4年間、毎日「ペプシスペシャル」を1・5リットル飲み続けた会社員(前出)である。

「まさか何の効果もない商品がトクホとして堂々と売られているなんて思ってもみませんでした。消費者庁とメーカーには責任を取って謝罪して欲しいです」

 国がお墨付きを与えた「消費詐欺」。これほどタチの悪いものもあるまい。

特集「6400億円市場の虚飾! 『脂肪吸収抑制』喧伝で消費者を裏切り続けた罪!大反響! トクホの大嘘 告発第2弾」より

週刊新潮 2017年4月6日号掲載

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