谷原秀人が目論む下剋上 もぎ取ったマスターズ切符

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10年ぶりの晴れ舞台へ(写真はイメージ)

 今年のマスターズには日本人が3人出場する。松山英樹(25)と池田勇太(31)、そして谷原秀人(38)である。

 谷原のマスターズ切符はまさに執念でもぎ取ったものだった。

 マスターズ出場の条件はいくつかあるが、最もポピュラーなのは「前年末の世界ランキング50位以内」だ。池田はここで切符を得たが、55位とわずかに及ばなかった谷原は、年明けから出場可能な大会に手当たり次第出場した。ハワイ、シンガポール、ミャンマー、オーストラリア、メキシコと文字通り世界を飛び回った。

 そして、マスターズ本番の前々週。彼は米テキサス州オースティンCCの地を踏んだ。「WGCデルテクノロジーズ マッチプレー」でラストチャンス、つまり大会を終えた時点で「50位以内」という最終条件に挑んだのだ。ただ世界選手権(WGC)シリーズでもあるこの大会は、世界ランク64位以内の強豪が集うハイレベルな大一番であった。

「大会前の谷原君のランクは60位と年末よりもダウンしていました。これを1試合で50位以内に上げるのは至難の業でしたが……」

 と現地で取材した在米ゴルフジャーナリストの舩越園子氏が語る。

「初戦で同6位のジョーダン・スピース(23)を破る大金星。現地記者も驚嘆し、彼を会見場に招き記事にした。翌日からはコースで“タナハラ!(米国人はニが発音しにくいらしい)”と声援が送られていました」

 そんな声援が効いたのか、谷原は4位でフィニッシュ。準決勝は同1位のダスティン・ジョンソン(32)に1ダウンの惜敗だから大健闘である(優勝はジョンソン)。世界ランクも48位に上がり、念願のマスターズ出場を決めた。

 谷原の出場は2度目。特別招待で出場した07年のマスターズでは、20オーバーの91位で予選落ちした。

「試合後の囲み取材で“悔いはない”と強がっていましたが、帰り際に駐車場で改めて聞いたら“やっぱり悔しいっすね”と本音をポロリ。でも、ティショットの精度を上げてきた今回は、とても期待できると思いますよ」(同)

 開幕は4月6日。

週刊新潮 2017年4月6日号掲載

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