ロシア外交官が6人怪死 「CIA謀殺説」「粛清説」流れる

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 金正男事件の例を挙げるまでもなく、世に“暗殺”の噂は絶えない。ある国の外交官が次々に“怪死”を遂げていればなおさらだ。

「2月20日、著名なロシアの外交官、チュルキン国連大使(64)がニューヨークで執務中に“心臓発作”のため死亡したと発表されました。が、これを不審とした市当局の検死官が死因の解明に乗り出したことをきっかけに、実は4カ月で6人ものロシア外交官が死亡していた事実に注目が集まっているのです」(国際部記者)

 米大統領選当日の11月8日、ニューヨークのロシア領事館で防諜担当の職員(63)が“心臓発作”のため死亡。12月には駐トルコ大使(62)が写真展会場で警備の警官を装った男に射殺され、数時間後、モスクワでは56歳の外交官が自宅で遺体となって発見。1月には55歳のギリシャ領事がアテネ郊外の自宅風呂場で遺体で発見されたかと思えば、67歳のインド大使がやはり“心臓発作”で死亡、とロシア外交官は受難続きなのだ。

 あるロシア通の国際問題研究家は言う。

「確かにロシア人男性の平均寿命は64・7歳と先進国中かなり低い。“心臓発作”も不自然でないとも言えますが、それにしても数が多い。米CIAの謀殺説やロシアによる粛清説まで飛び交っています」

 早稲田大学客員教授の春名幹男氏も言う。

「偶然と言い切るのが憚られるのは、ロシアでは明らかな“暗殺”の事例がいくつも見受けられるからです」

 英国の独立調査委員会が昨年、プーチン大統領の関与まで指摘した劇毒ポロニウムによる2006年のリトビネンコ殺害事件は言うまでもなく、15年には野党指導者ネムツォフ氏がモスクワ市内で何者かに銃撃されて死亡しており、今年に入ってからは反体制活動家カラムルザ氏が毒によると見られる変調で入院、かろうじて一命は取り留めたが“暗殺”説は根強い。

「今回の件で“陰謀論”が湧き上がるのも無理のないことでは」(同)

 ニューヨーク市検死局は、11月のロシア領事館での職員の死についても改めて疑義を呈し始めた。真相が明らかになる日は来るのか。

週刊新潮 2017年3月16日号掲載

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