MRJ、5回目の納入延期 下請け企業から悲鳴

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 この飛行機に搭乗できる日はいつになるのか。

 国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の量産計画が、縮小されることになった。これまで、2020年から月に10機という計画が、月1機程度にするというから、大層な見直しである。

 経済部記者の解説。

「もともと三菱は、今年の末から月2機、来年末からは3〜4機と、徐々に生産数を上げていく予定になっていました。しかし、1月末、“安全性を高めるため”との理由で、初納入の時期を18年の半ばから、20年の半ばに延期すると発表。これによって量産時期も先送りすることになってしまったのです」

 納入延期は、実はこれで5回目。当初の納入予定年からは7年遅れとなる。

「これ以上の先送りは許されないでしょうね」

 と、航空ジャーナリスト。

「東京五輪のときに、MRJで聖火を運ぶというプランはまだ生きています。MRJを世界にアピールする格好のチャンスを逃すことになってしまいますから」

 度重なる計画変更に悲鳴をあげているのは、部品を請け負う下請け企業だ。

 社員のひとりが言う。

「何回延期されるのかと、ため息が出ますね。うちは量産に向けた設備投資の計画段階だからよかったけど、すでに投資している会社も少なくない。回収の目処がたたないわけですから」

 一方、別の下請け幹部は、

「延期は確かに苦しいけど」

 とした上で、別の悩みを吐露するのだ。

「MRJのような小型旅客機は、今の航空機業界の主流で、各国の航空機メーカーがこぞって作っています。なので部品の需要は高く、海外からの発注は少なくないので、MRJの延期はなんとか耐えられます。むしろその間、トランプ相場で円高に振れてしまう方が会社へのダメージは大きく、気を揉んでいますよ」

 下請けはツライよ――。

週刊新潮 2017年3月9日号掲載

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