「日本は毒針で中国を狙うサソリの形」中国の反日教育の実態

中国 2017年2月23日掲載

■「嘘つき中国共産党」の真実

マンガで読む 嘘つき中国共産党』で、習近平政権から自身が受けた言論弾圧の詳細を克明に描き、大注目を浴びている中国亡命漫画家・辣椒氏。

 天安門事件で中国政府に見切りをつけ、一貫して共産党独裁を批判する言論活動を続けてきた評論家・石平氏。

 前回、「習近平政権になってから、中国はますます凶暴化している」との認識で一致した2人は、さらに日中関係についても、ある深刻な懸念を共有しているという。

 2人が「リベラル派」の日本人にどうしても伝えたい中国共産党政権の真実とは――?

 ※以下、「新潮45」2017年2月号の対談記事を再掲

■江沢民が始めた日本敵視

辣椒 しかし、海外の人は中国から離れていることもあって、中国がそこまで危機の状態にあるとはなかなか考えません。

石平 天安門事件で中国共産党は存続の危機の際に自らを守るために戦車を出動させました。中国共産党が変わっていくかもしれないと楽観視する日本人もいますが、私がそのような人に言うのは中国共産党が北京の中心部で自らの国民に対し戦車を差し向けたことです。政権が危ういからと、東京でそのようなことが起きるでしょうか。

辣椒 その通りだと思います。

石平 日本人にもう1つわかってもらいたいのは、辣椒さんが漫画でも描いた反日、あれも天安門事件と関係があることです。天安門事件で中国共産党への神話が崩壊してしまい、事件後に台頭した江沢民政権は民心をいかに掌握するかの課題を持っていたのです。そこでごく自然なロジックとして別の敵を作ること、すなわち日本を敵に仕立てたのです。その頃から日本は中華民族の共通の敵になりました。そのような性質を持つ天安門事件であるのに、日本が間違っていたのは天安門事件後、外国が中国に行なっていた制裁からまっ先に抜けて、再び中国を援助したことです。自らを敵に仕立てた政権を援助したのです。以来、中国では学校教育の他、テレビや映画なども日本を敵とする傾向になったのです。

辣椒 1980年代、私が小学校の頃には日中関係はとてもよかった印象があります。その頃、日本の映画や漫画がたくさん入って来て、日本に対する印象もよかったです。私の周囲では手塚治虫先生の『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』などが人気がありました。

石平 1980年代に日中関係がよかったというのは私たちの共通の認識だと言えますね。もちろん1980年代以前も抗日戦争を題材にした映画はあったわけですが、今との違いは中国共産党の八路軍の活躍に重きを置いていたことで、今のように故意に日本を悪く描くことはなかったのです。それどころか、登場する日本人はきわめて滑稽な扱いで、見ると笑ってしまうほどでした。それが90年代以降に作られたものは日本軍による凄惨な殺戮シーンなどが出てきて、あれを見ると日本に対する憎しみが湧いてしまうのです。それに加えて、辣椒さんがこの本の中で描いていた……。

辣椒 「照」という字の覚え方ですか?

石平 そう。北京の小学校で教えていたという。

辣椒 「照」を教えるのに「1人の日本人が刀を持って1口(人)の人を殺して、4滴(部首のれんが)の血が流れた」と教師が教えたそうです。あれは恐ろしいと思います。

石平 私の妹の息子が学校でこんなことを教わったと言います。「日本の地図を見てみよう。あれは猛毒を持つ蠍のようなものだ。この蠍がいつも尾の毒針を出して狙っているのは海のこっちの私たちの祖国だから、日本と戦わねばならない」と。妄想に基づく反日脅威の典型ですね。

辣椒 こういうケースもあります。ある家庭で息子が父親と一緒に抗日戦争ドラマを見ていて、ともに日本に対して怒りの感情を持ちました。一方、母親はドラマに興味がなく、ある時、友人から日本がいいと勧められて家族で日本旅行しようと提案しました。ところが、母親はもとより父親が説得してもその息子だけは頑として日本旅行に反対したというのです。怖いのは情報が限られている中で長期的にこのような番組を見ていると、思考に悪影響を与えることです。たとえば私の父は抗日戦争ドラマがずっと好きで、その影響から他の国の映画を見ても登場人物についていちいち「こいつは敵か味方か」と決めなければ気が済まない習性が身についたのです。アメリカの映画だといい人、悪い人がそんなに鮮明には描かれずに、悪い人でもいい面があったりもします。でもそういう作品にはなかなか馴染めません。

石平 それは中国共産党の基本的思想です。中国共産党のやり方は要するにすべての人間を「いい人=人民」と「悪い人=人民の敵」に分けることです。「いい人=人民」は共産党に服従し共産党を擁護する人ですが、中国共産党に刃向かう人は皆「悪い人=人民の敵」。そして、前者は後者を吊るし上げても殴り殺しても何をやっても許される。悪い人には法律上の保護もないのです。

辣椒 中国人の台湾に対する意識にも表れていますね。台湾人を同胞と意識しますが、台湾独立派と知ると、犯罪者扱いです。

石平 中国人の思考にはいったん敵と決めつけたならば何をやっても許されるという発想があるのです。このことは日本のような文明社会の人には理解しづらいでしょうが、それでも理解する必要があります。教育の違いは大きいです。日本の幼稚園では平和や生命の尊さを教えます。今、息子に読み聞かせている絵本も自然や生命に感謝する内容です。私が小さい頃に読んだ絵本は全く違います。たとえば、国民党兵や日本兵を手製の槍で刺し殺す「ちびっこ英雄」といったものはよく出てきます。そんな英雄、日本の絵本にはいないはずです(笑)。こうして中国共産党が敵とみなした人は悪い人とされて、そういう人に対しては何をやってもいいと考えるようになる。昔の国民党がそうですし、将来は日本かもしれません。

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