ドン内田に弓引く3人の自民党都議 百条委員会の設置を主張

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ぬるい対応

 真の改革派かどうかは、微妙な点もあるが、

「彼らが元気付いている背景には、自民党がこれまでぬるい対応をしてきたことがあります」

 と分析するのは、ある政治評論家。

「自民党は、新風自民党を結成した3人を除名にしませんでしたよね。あれは、除名にすれば、逆に彼らに“正義”を与えてしまうから。だったら、飼い殺しにしようという作戦です。自民を批判しているのに、支持者に党員がいるため党を飛び出せない彼らの中途半端な立場を浮き彫りにすることで、小池さんが応援できないようにしようということ。だからこそ、似たような動きが出て来るのです」

 では、百条委員会は、実際に設置されるのか。先の記者が説明する。

「そのためには、都議会で議員の3分の2以上の出席と、出席議員の4分の3以上の賛成が必要です。現在の都議会の構成からすると、全部で127人いる議員のうち、85人の出席と、そのうち64人の賛成が必要となる。仮に、自民党以外の全会派(公明、共産、民進の2会派、都民ファースト、生活者ネット、無所属、新風自民党)を足しても、70人にしかならない。自民党会派から15人が出席しないと、議決ができません。舟坂都議ら3人が出席しても、あと12人必要です」

 57人いる自民党会派のうち、反内田派は20人程度いる。彼らを何とか取り込めれば、と考えているのだ。

 しかし、皮算用して、この数字である。現実はもっと厳しい。例えば、新風自民党の大場康宣都議は、

「今は百条委員会を設置して豊洲問題の疑惑を究明するよりも、豊洲への移転延期によって困っている築地の事業者の補償問題を優先して取り組むべきです。なので、仮に百条委員会の話が出ても、現状では賛成しかねます」

 その上、先の評論家は、

「都議選で小池さんが独自に40人擁立するとなると、公明や民進との調整すら難しい。ここに自民党を割って出る人が加わったら、一層調整が難しくなる」

 3人の都議は、まだまだ前途多難だが、

「地元を回ると、未だ支援者から“自民党都連はこれまで何をやっていたんだ”と、お叱りを受ける。もし、千代田区長選で小池さんが支援する現職が圧勝するなんてことになれば、改革を進めろという機運が高まり、百条委員会の設置も進む可能性はあります」(自民党都連幹部)

 全ては世論次第――。

週刊新潮 2017年2月2日号掲載

ワイド特集「大寒のただ中にある身の廻り」より

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