シャツの襟は切り取り、ナイキのロゴは塗りつぶす…中崎タツヤ氏の凄まじいライフスタイル

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断捨離どころか必要最低限がない!ミニマリストの極限スタイル(3)

 さて、(1)でご登場頂いた元「ワニブックス」編集者の佐々木典士(ふみお)氏がミニマリストの「中道」を自称しているように、この道にも、やや変則的ながら、極限を究めた兵(つわもの)がいる。

「マザー・テレサは洋服をサリー2枚しか持っていなかったと言われていますが、そういう極限までモノが少ない状態が理想です」

 憧憬の念を込めて語るのは、元漫画家の中崎タツヤ氏だ。『じみへん』(小学館)などの作品はあまりに有名だが、15年、還暦を機に断筆・引退を決めた。

「今、僕が持っている服は、礼服が1着、ジャンパー3枚、白い襟なしシャツと厚手のポロシャツが2枚ずつ。肌着、パンツ、靴下が各3枚にチノパンが2本です」

 命と金と妻以外、何でも捨てるという私生活を明かしたエッセイ『もたない男』(新潮文庫)の著者でもある中崎氏。彼は「2着と3着の違いは大きい」と力説する。

「毎日服を着替えるとして、2着だと2日目にはもうストックがなくなります。すぐ洗濯すれば乗り切れるでしょうが、そうでないと服に飲み物をこぼしたら、代えがない。3着なら、汚してももう1着ある。この差は大きいので、やはり3着持ってしまう。だからマザー・テレサの2着というのは本当にすごいと思います」

 達人は達人を知るということか。もっとも、当の中崎氏は、自身がミニマリストであることを否定する。

「ミニマリストの方々の中には『捨てることで、本当に大切なものが分かる』と言う人もいます。僕はそういうことは考えたこともない。主義とか美学でモノを減らしているわけでなく、生理的に気になるというだけのことです」

 彼があまり物を持ちたくないと思うようになったのは中学生時分だという。

「勉強で科目ごとに別のノートを使うようになる。これが嫌で、一冊にしたかった。だからバインダー式のものにし、それまでのノートを全部捨てました。その時からモノを捨ててスッキリするのが病み付きになった」

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