ダルビッシュと超一流選手の「筋トレ塾」 デメリットも

野球週刊新潮 2017年1月19日号掲載

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塾の面々

 シーズンオフの現在、プロ野球選手らは思い思いの自主トレに励んでいる。そこで、とりわけ注目を集めているのが、米メジャー・レンジャーズ所属のダルビッシュ有投手(30)による“筋トレ塾”。日ハムの大谷翔平投手(22)やヤンキースの田中将大投手(28)など、錚々たるメンバーが集まっている。しかし、プロ野球選手にとって、筋トレは良いことばかりじゃない。

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 スポーツ紙の記者によれば、

「一昨年の3月、ダルビッシュは右肘内側側副靭帯の損傷が判明し、トミー・ジョン手術を受けました。そのリハビリ中、筋トレの重要性に気づき、シーズンオフに帰国すると、後輩ピッチャーらに、筋トレ法を伝授するようになったのです。この年末年始、日ハムの大谷と中田翔内野手、阪神の藤浪晋太郎投手やマー君、楽天の則本昂大投手、巨人の坂本勇人内野手らが参加し、ケーブルマシンやベンチプレスなどで筋力強化に取り組みました」

 しかし、ダルビッシュの“筋トレ塾”に異を唱えるのは、ご存じ3000本安打の張本勲氏だ。

「最近は、上半身のトレーニングに重きを置きすぎている。金田正一さん、米田哲也さんら350勝以上をあげている投手はみな、下半身のトレーニング、つまり走り込みに力を入れました。角界には、“3年先の稽古”という言葉がある。目先ではなく、3年後の成長に向かって稽古を考えなければなりません。上半身ばかり鍛えると、故障のリスクも高まります」

 筋トレ至上主義には、懸念を持っているという。

■SPAトレーニング

 さらに、ピッチャー出身で野球評論家の江本孟紀氏も、こんな見解だ。

「ウエイトトレーニングは、一種の流行みたいになっています。投げて走ってを繰り返し、身体を鍛えるのは古い方法であるかのようです。大事なのは結果。ダルビッシュと練習することの多い中田はムキムキの身体になり、そのおかげでバットに球が当たればもの凄く飛ぶ。でも、昨シーズンの打率は2割5分に留まり、しかも3年連続で下がってきています。筋肉量を求めすぎたことが、成績が振るわなくなった原因の1つではないでしょうか」

 では、スポーツドクターはどう評価するか。

 日体大総合研究所の武藤芳照所長は、

「スポーツ界では、ストレッチのS、パワーアップのP、有酸素運動のエアロビクスのAを組み合わせたSPAトレーニングが重要だと言われるようになってきました」

 と解説する。

「大前提として、野球選手には、体幹から指まで総合的な筋トレを欠かすことはできません。でも、同時に、ストレッチによって柔軟性を高めていかないと関節を痛めるなどの筋トレの負の側面が出てきてしまう。さらに、エアロビクスで持久力を備えることも、特に、マウンドで投げ続けるピッチャーには必要です。競技力向上に肝心なのは、筋トレだけでなく、バランスの取れた練習なのです」

 マッチョなだけの野球選手は、使いものにならないのである。

ワイド特集「最後の福袋を買い占めろ!!」より