ヒクソン・グレイシーが教える 絶対にマネしてはいけないトレーニング法

スポーツ

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 新年度が始まった。職場環境の変化など、何かと新しいことが増えるこの時期は精神的にも疲労する。疲労してストレスがたまると、ちょっとしたことで怒りを覚えたり、落ち込むなど、メンタル面がナーバスになってくる。いつどんなときでも心を強く保つには、どうすればよいのだろうか。

■400戦無敗の男のメンタル・トレーニング

 メンタルの強さといえば、スポーツ選手。今回は中でも「最強」といわれた男が実践した、仰天のメンタル・トレーニング方法をご紹介しよう。

 その男とは、「400戦無敗」のキャッチフレーズがあまりにも有名な格闘家、ヒクソン・グレイシー。彼は日本での試合前に山ごもりをした際、恐怖心を克服するために或ることをした。なんと零度近い水温の湖や川に飛び込み、全身をそこに浸したのである。

「異常なまでの冷たさが全身の皮膚を猛烈な激しさで突き刺し、『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ』といった荒い息遣いになる。が、そこで例の呼吸法を用いることで、自分の感情をコントロールし、パニックを克服する。息遣いは『シュー、シュー』という静かなものに戻る」

 息遣いを変えてからも冷たさは体を苛(さいな)み続けたが、精神的にパニックになることはなくなったという。

■極限状態を克服して強くなる

 ここに出てくる「例の呼吸法」とは、ヒクソンが11~12歳ごろに会得したものだ。

 まだ少年だった彼は、ある日柔術の稽古で大人にねじ伏せられ、パニック状態に陥ってしまった。そこで彼は冷静さを失ってしまったことを反省し、家に帰って兄に「自分をカーペットでぐるぐる巻きにしてほしい」と頼むのである。

 その通りにされたヒクソンは、初めまったく身動きがとれず、呼吸もできずに地獄のような苦しみを味わった。しかし、次第に落ち着きを取り戻していく。

「私は目を閉じ、いつも行く近所のビーチに自分が座っていて、爽やかな風を受けている姿を想像した。それから、ゆっくり複式呼吸を始めた。そうすると、さらに落ち着いてきた。それからは、もうほとんど問題はなかった。」

「バーリ・トゥード・ジャパン・オープン1994」決勝戦。
勝利の直後にもかかわらず、泰然自若として、その“心”に乱れはない。

 これ以降、たとえ相手にのしかかられて息ができなくなっても、わずかだが入ってきた空気によって腹式呼吸ができることを知った彼はパニックに陥ることがなくなった。

 ヒクソン・グレイシーは著書『心との戦い方』(新潮社刊)の中で、これまで紹介したような自身のメンタル・トレーニング術について語っている。ここに出てくる彼のエピソードは、当たり前だが絶対にマネをしてはいけない。

 ただ、自分の不得意分野に飛び込み、克服することが自信につながるというのは誰にでも共通することだろう。新しい環境が始まった今だからこそ、「絶対にできないと思うこと」に挑戦し、それを乗り越えることができれば、一段と強靭なメンタルを身につけられるのではないだろうか。

デイリー新潮編集部