韓国「交渉の禁じ手」はなぜ許される? 日韓合意を裏切り10億円

国際 韓国・北朝鮮

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 想像してみてほしい。サッカーの試合でこちらが点を決める。すると、相手はゴールをずるずる後ろへ引きずり、「ゴールラインは、ここ!」と「得点無効」を主張する……。そんなチームとは二度と試合をしないというのが普通の感覚。しかし、こんなゲームを何度となく続けているのが「日韓関係」の実態なのだ。

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 日韓合意は、国と国とが世界に向けて履行を約束したもの。しかし、一方の当事者の朴槿恵大統領が職務停止にあるとはいえ、これがわずか1年で反故にされた。

「これこそが韓国の約束を守らない体質。“ゴールポストを動かす”と揶揄されてきた体質そのものです」

 と述べるのは、元毎日新聞論説委員でソウル支局長も務めた下川正晴氏である。

「慰安婦問題についての両国の歴史はその典型です。そもそも、1965年の日韓基本条約で韓国側は総額8億ドルの援助を受け、日本に対する一切の請求権を放棄した。それにもかかわらず、韓国は後に“慰安婦問題が新たに出てきた”と賠償を求めてきたのです」

 これに日本が譲歩し、95年、「アジア女性基金」を設立。総理がおわびの手紙を出し、民間の寄付によって償い金を支給した。が、

「韓国はそれでも謝罪と賠償を要求し続けてきた。仕方なく再度おわびを述べ、支援金を出したのが一昨年の日韓合意。しかし、今回これも破られたのですから、計3度、日本は約束を反故にされたことになる」(同)

■法より情緒

「戦後の日韓関係は、対日裏切りの歴史と言えます」

 と言葉を継ぐのは、産経新聞の黒田勝弘・ソウル駐在客員論説委員。

「竹島問題も、国交正常化時に“棚上げ、現状維持”で了解し合ったにもかかわらず、後に島に埠頭を建設、次いで、民間人の往来を自由化して、観光地化し、あげくに2012年には、李明博大統領自らが島に上陸してしまいました」

 その李明博政権では「日韓軍事情報保護協定」が、国民の反対が多いという理由で、「ちゃぶ台返し」。調印わずか1時間前のことだった。

「教科書問題も、金大中大統領は小渕総理との間で“過去は清算した”と述べていたくせに、日本で保守系の教科書が検定に通ると35項目の修正要求をしてきた」(同)

 というから、愚弄するにも程があると言えよう。

 黒田氏は、

「韓国はアジア大陸にぶら下がった半島国家。生き残りのためには、いつも騙し騙されの『綱渡り外交』をせざるを得なかった」

 そう“原因”を分析するが、元時事通信ソウル特派員で『韓国は裏切る』著者の室谷克実氏によれば、

「そもそも、韓国は法よりも情緒が優先する国なのです。国同士の約束があっても、国民感情が反発すれば、そちらを優先する」

 こうした“決まり”は一般に、「国民情緒法」と呼ばれ、韓国では自明の理。広く人口に膾炙(かいしゃ)しているという。

 ゆえに、「21世紀の世界に適合していない。あの国を信じてはいけないのです」(室谷氏)と言われるのも仕方ないのだが、先の経緯に鑑みれば、それにまともに向き合い、付き合ってしまったのが、日本であるのもまた事実。「交渉の禁じ手」を許してきたのは、毅然としない日本の対応そのものだったのかもしれない。

特集「10億円を払っても『韓国』やらずぼったくり」より

週刊新潮 2017年1月19日号掲載

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