安倍総理夫妻を“広告塔”に利用の「AO義塾」代表、小池塾にも参加 昭恵夫人の回答は

国内 政治 週刊新潮 2016年12月15日号掲載

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 一国の首脳の親族がエコヒイキされ、不当な利益を得る――。お隣の国からよく聞こえてくる話だが、対岸の火事だと高みの見物をする暇があるなら、わが身を振り返ったほうがいいかもしれない。

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 今年3月、衆院第1議員会館と首相官邸を会場に「全国高校生未来会議」という催しが行われた。全国から選抜された学生が模擬投票などを行ったこのイベントは、後援に文科省と総務省、優秀者には総務大臣賞や地方創生担当大臣賞、さらには内閣総理大臣賞まで贈られるなど、いわば“国を挙げて”のバックアップ。主催は、斎木陽平という24歳の若者が代表を務める「リビジョン」なる一般社団法人である。

 開催の経緯を、文科省幹部はこう明かす。

「リビジョンの斎木代表は安倍総理の親族だ、と聞かされ、みな仰天したんです。文科省はいろんなイベントに公平であるべきだし、リビジョンという法人に活動実績がほぼないことなどから、文科大臣賞の設定だけは拒んだものの、“安倍総理の親族だから仕方ない”という言葉の下、後援を余儀なくされたのです」

安倍昭恵総理夫人

 安倍昭恵総理夫人も、参加者の交通費や宿泊費を募るクラウドファンディングに、〈皆さんのお力を貸して頂けるよう、心よりお願い申し上げます〉とフェイスブックで協力を呼びかけている。

 斎木氏は、AO入試対策が専門の「AO義塾」経営者としての顔も持ち、イベントでは〈入塾金3万円が無料に!〉などと記した塾への勧誘ビラも配られた。

「文科省の後援を受け、クラウドファンディングでお金を集め、首相までが駆けつけた全国高校生未来会議で、こんな勧誘のチラシを配るのは悪質です」(教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏)

 AO入試は、“未来会議への参加”といった“活動点”があると合格しやすい。要は「未来会議」は、“AO義塾の広告塔”だったのだ。また、塾そのものにも、“合格実績の偽装”“他社の指導ノウハウを真似”“AO入試の精神を歪めている”といった指摘の声が上がる。

■「利用していいよ」と昭恵夫人

 政治家志望を公言する斎木氏は、小池百合子都知事の「希望の塾」にも参加している。そんな彼を日ごろから後押ししているのが昭恵夫人だ。フェイスブックを覗いても、まるで保護者のようにいつも一緒に行動しているが、“小池塾”に入るに際しても1枚かんでいた。小池塾の関係者が語る。

「9月初旬、ある人を介して斎木さんは小池都知事と会いました。そこには仲介者と昭恵さん、もう1人の5人が集まり、昭恵さんが小池さんに斎木さんを推挙する形になった。以後、斎木さんは小池塾の事務局に入り込み、小池さんもなにかと“斎木くんにお願いしなさい”と、彼を重用していたのですが、青年部のような下部組織を独断で作ろうとしたことから、斎木さんは信用を失い、今では小池塾は、斎木さんが事務局に関わっていること自体を隠したがっています」

 とまれ、昭恵夫人はなにゆえ、こんな男に肩入れし続けるのだろうか。

「主人の父のときからの後援者のお孫さんでもあって、非常に頑張っているので応援してきました。主に高校生未来会議を手伝っているというか、一緒に参加させてもらっています」

 と昭恵さん。だが、斎木氏が塾でかけている“ペテン”のことは、認識されていないのだろうか。

「すごく頑張って実績を上げていると思っていました。AO入試自体がまだ日が浅く、誤解も生じるのかと思いますが、彼自身はわざと騙そうとはまったく考えていないと思います」

 しかし、高校生未来会議だって、塾への勧誘ビラを配るなど、自らへの利益誘導に利用しているのだが。

「AOが本当によいと思っているので、受験したい人を手助けするつもりだったと推測しますが。彼は公私混同という思いではやっていないと思う。世の中を変えたいという熱い思いをもっている人なので、私はなるべくフォローしてあげたい。人を騙そうとか、自分が儲けたいとか、そういう思いはまったくないので」

 いやいや、昭恵さん、こうもおめでたいから“広告塔”に利用されているのに気づきませんか。

「私は良いことをするときは“利用していいよ”と言っているので。若くて無名の人は信用を得るのにすごく努力が必要ですから」

 だから安易に信用を与えてはいけないのが、おわかりにならないらしい。ちなみに昭恵夫人、小池塾への口利きだけは否定した。

■斎木氏は…

 安倍晋三事務所も、

「斎木氏は高校生未来会議等に真剣に取り組んでいると承知しています」

 と回答。では、当の斎木氏はなんと答えるか。

「全国高校生未来会議の文科省後援は、広く開かれた窓口から申請し、許可されたものです。リビジョンとAO義塾は、同じ人間がやっているから重なる部分はあっても、うちの塾生が全員、リビジョンに参加しているわけではない。リビジョンに参加して合格に近づくなら、全員にやらせますが、そうではないわけです。またリビジョンのアイデアも僕のものだし、AO義塾の指導も独自のもので、他社のノウハウを使用している事実はありません。未来会議で勧誘ビラを配った事実もないと思います」

 そして、小池塾は参加しているだけで、事務局には関与していないと語るのだ。

 それにしても、AO義塾が配ったビラの文言は〈国会に来ただけでいいのか?〉等々、AO義塾は全国高校生未来会議の上に存在し、もっと上を目指したければAO義塾に来い、といわんばかりのロジックであった。

 ちなみに文科省に尋ねると、“エコヒイキ”の事実は強く否定したものの、

「私たちもAO義塾の勧誘ビラなど配られたら困ると懸念し、ダメだと再三言っていたのですが。配っていたなら、後援取り消しという手段も考えなければ」

 各政党の代表や幹事長も勢ぞろいし、安倍総理が公邸を開放して自ら賞を授けたイベントが、24歳の若造率いる私企業が儲ける“道具”として利用されているのだ。直接的に間接的にそれを手助けしている安倍総理夫妻は、自分たちは朴槿恵とは違う、と言い切ることができるだろうか。

特集「『安倍総理』親族だから文科省がエコヒイキするAO義塾代表のペテン」より