「トランプ大統領」が暴走したら…“弾劾裁判”で罷免は可能?

国際

  • ブックマーク

Advertisement

 常に「核の発射ボタン」を携え、合衆国の行政権を一手に握るプレジデントの権力は、やはり強大だ。

 では、仮に政治経験ゼロの新大統領が暴走を始めた場合、彼を止める術はあるのだろうか。

 任期途中のアメリカ大統領がその座を降りる方法は2通りしかない。ひとつは自ら辞任すること。もうひとつは、合衆国憲法第2条第4節に定められた「弾劾裁判」による罷免である。

“弾劾裁判”で罷免は可能?

 福井県立大学の島田洋一教授(国際政治学)によれば、

「弾劾裁判では下院が検察、上院が裁判所の役割を果たします。下院の過半数の賛成があれば起訴でき、罷免するには上院の3分の2の賛成が必要になる」

 罷免には至らなかったものの、アメリカでは過去に2人の大統領が裁かれたことがある。第17代のアンドリュー・ジョンソンと、トランプに敗北を喫したヒラリーの「夫君」である。

「ビル・クリントンが“ルインスキー事件”を起こしたのはご承知の通り。彼の行為自体は刑事犯罪ではありませんが、宣誓証言をした後に“性的な関係がない”と発言したことで偽証を追及されたのです」(同)

 トランプがホワイトハウスで女性スキャンダルを起こす可能性は大いにあるが、偽証どころか、むしろ開き直りそう……。とはいえ、

「弾劾裁判は汚職や国家反逆罪など、かなり重い罪に限られます。トランプはすでに、CIAの諜報員が入手した機密情報をブリーフィングされていますが、それを漏らせば間違いなく弾劾裁判になります」(同)

 炎上商法で選挙戦を勝ち抜いた「暴言王」が罷免を免れるには、口を閉ざすところから始めるべきだろう。

特集「差別と憎悪の渦から生まれた『トランプ大統領』25の疑問」より

週刊新潮 2016年11月24日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。