トランプからはノーでも…安倍政権がTPP承認を急ぐ事情とは

国際週刊新潮 2016年11月24日号掲載

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 トランプ次期大統領は、TPPにノーの姿勢を崩していない。11月22日には、政権移行チームのウェブサイトに「就任初日に離脱を表明する」とのビデオメッセージを掲載した。

 それなのに、安倍政権がTPP承認を急ぐ理由について、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。

「理由の一つは、TPPの議論が長引けば長引くほど、安倍政権のダメージになるからです。今夏の参院選は、一見すると自民党の圧勝でしたが、東北などではTPPへの反発から大きく負け越している。さらに、10月の新潟県知事選でも原発再稼働だけでなく、TPPも争点になり、自民党の推す候補者が敗れました。なので、できるだけ早くカタをつけておきたいわけです」

どうなるTPP

 だが、果たして、今国会で決議をする意味はあるのか。

『TPPで日本は世界一の農業大国になる』の著書があるジャーナリストの浅川芳裕氏は、

「TPP反対で、トランプは保護貿易主義者のように見られていますが、現実には自由貿易主義者です」

 と指摘する。

「その証拠に、任命した農業政策顧問65人の全員が自由貿易主義者でした。では、なぜTPPに反対しているかと言うと、アメリカの利益を最優先に考えているからです。現状、日本は農産物594品目のうち、424品目を関税撤廃の例外としている。トランプは日本をはじめとする参加国に一旦、撤退表明で揺さぶりをかけ、いずれTPP参加の条件として、アメリカに有利な条件を持ち出してくるはずです」

 それに備え、安倍政権としては、再交渉の余地がないことを示すためにも、今国会で決議をする必要があるというわけなのだ。

特集「差別と憎悪の渦から生まれた『トランプ大統領』25の疑問」より