幸福の科学が沖縄の「反対派」暴力動画を公開 10日間で66万回再生

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 沖縄県東村(ひがしそん)高江周辺で進む米軍のヘリパッド建設工事に反対する人たちの無法ぶりは本誌(「週刊新潮」)でも紹介したが、彼らの暴力行為を“告発”する動きが意外なところから飛び出した。動いたのは、あの「幸福の科学」である。しかも、誰かの霊を呼び出し、その霊言によって何かを主張するといういつもの手法ではなく、真正面から取り組んでいるから驚かされるのだ。一体、背景にはいかなる目的があるのか。

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10月21日に配信された動画の一場面(「THE FACT」のYouTubeより

 大阪府警の機動隊員による「土人発言」を撮影した動画が公開されたのは10月18日。それが大騒動に発展したことはご承知の通りだが、その最中の21日、幸福の科学が運営する「ザ・ファクト」なるネットメディアに、独自に撮影したとされる映像が配信された。そこに映し出されていたのは、8月5日の高江。反対派たちが沖縄防衛局の職員に暴力を振るって屈服させる様子であった。

 全部で22分ほどのその映像は、反対派のテントの前に、沖縄防衛局の職員らが〈関係者以外通行禁止〉の警告文を貼りにくる場面から始まっている。職員を妨害する反対派の中には、リーダーの山城博治の姿も。「取り囲め!」「抗議してやれ!」といった怒号が飛び交う中、カメラが向けられた先では、職員が複数の反対派に囲まれて体をつかまれ、マスクやサングラスをはぎ取られそうになっている。結局その職員は無理やり顔を撮影された。

 手当たり次第職員に掴みかかる反対派メンバー。そのうちにカメラは、1人の若い職員が羽交い締めにされている様を捉える。周囲にいる反対派メンバーは口々に「座ってみるー?」「正座せい、正座」などと怒鳴っており、ほどなく、職員を座らせることに成功。「何しに来た?」と皆で問い詰め、「強盗!」「泥棒!」と罵っていると、ようやく近くの警察官が「離れて下さい」。が、反対派メンバーは「協議が始まっている」などと言うだけで、若い職員の髪の毛を掴んだり、肩をゆすったり、押さえつけたりするのを止めようとはしなかったのだ。

■「信者が大挙して…」

 10日間で66万回という再生回数を記録したこの映像を撮影した「ザ・ファクト」のプロデューサーで教団職員の奥津貴之氏は、

「安全保障の観点から見た場合、沖縄の米軍基地の重要性は非常に大きい。しかし、大手新聞、テレビの基地問題に関する報道は十分ではありません」

 と、取材の動機を語るが、それにしてもなぜ幸福の科学が「沖縄問題」なのか。

「幸福の科学の大川隆法総裁はかねてより日米同盟の堅持を主張してきました。当然、今回の高江取材もその主張の延長線上にあると考えられます」(ジャーナリストの藤倉善郎氏)

 そこはやはり宗教団体、今回のような映像1本ですら、元を辿ればトップの「ご意思」に行きつくのだ。

 映像の評判が上々なことに気をよくしたのか、「ザ・ファクト」は11月3日には高江への再潜入映像を配信。そこには反対派メンバーが自分の顔をギリギリまで奥津氏の顔に近づけて挑発する場面があるが、

「こうした映像に触発されて、幸福の科学の信者が大挙して高江に行ったりしたら、不測の事態が起こる怖れがあります」(同)

 もちろんそれは「無用な混乱」以外の何物でもない。

ワイド特集「神帰月の超常現象」より

週刊新潮 2016年11月17日号掲載

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