松野頼久と江田憲司が対立、旧維新グループの崩壊危機

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 橋下徹前大阪市長が作り上げた「維新」の面々の特徴は簡単に言い表すことができる。野合と分裂の集団。それは党の看板が替わったところで同じだ。意外なことに、民進党内最大勢力の「旧維新グループ(以下、旧維新)」。彼らの性根も相変わらずで、目下、崩壊の危機を迎えているという。

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 9月26日、永田町では「挙党一致」が物議を醸していた。安倍晋三総理の所信表明演説の最中、自民党の議員がスタンディング・オベーションを敢行。確かに、100人単位の人間が一糸乱れぬ行動をとる光景は、一種異様ではある。

 その3日後、国会にほど近い赤坂の中国料理店。そこには民進党の議員十数名だけが集(つど)っていた――。

「威信」をかけた両氏の主導権争い

 その場にいた議員の解説。

「松野(頼久)さんと江田(憲司)さんが共同代表を務める旧維新の議員は現在22名。その旧維新が会合を開いたんです。先の代表選の打ち上げだったんですが、出席者の共通点は松野シンパだということです」

 改めて旧維新の構成を振り返っておくと、

「江田さんをはじめとする『旧結いの党』出身議員らの『江田派』が7人。その他は、中間派と目される1人を除き、結いの党を経験していない『松野派』です。両派はかつて、橋下さんと組んで同じ『維新の党』に所属していましたが、昨年、自民党との距離感などで揉めた『橋下組』と『松野・江田組』で分裂し、その後、松野・江田組は民主党と合流して、民進党が結成されました」(政治部記者)

■「一部の人」!?

 思い出すだけでうんざりの離合集散ぶりだが、要は松野氏と江田氏は、敵の敵は味方で、「反橋下」の一点で結びついていたに過ぎないと言える。畢竟(ひっきょう)、先の民進党代表選を巡っても、

「主流派志向の江田さんは蓮舫さんを支持。対する松野さんは、前原(誠司)さんや玉木(雄一郎)さんにもグループ内から推薦人を出すべきだと主張。結局、旧維新は自主投票となりました。松野さんは、『江田さんに振り回されてばかりで、もう(グループを)割りたい』と漏らしています」(前出議員)

 そして9月29日、赤坂に松野シンパのみが参集したのだった。つまり「江田派」は対象外だったわけだ。

 片や気持ち悪いほどにまとまる巨大与党、こなた党内どころかグループ内すらまとまらない弱小野党――。

 別の会合出席議員が打ち明ける。

「松野さんは『(非主流派)グループ横断的に連携を広げる勉強会をやりたい』と言っていた。これは蓮舫体制を支える江田さんの考えとは相容れない。出席者から『今、そんなことを始めたらイメージが悪い』と窘(たしな)められていましたが……」

 一方の江田氏は、

「代表選の自主投票について騒ぎ立てているのは、松野さんじゃなくて、彼に近いごく一部の人でしょ」

 と余裕だが、その「一部の人」と思しき議員は、

「江田さんは他人の面倒を見る気がない人。彼に付いていけないと思っている人はたくさんいるはずです」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏の溜め息。

「成り立ちから、両者の間にはもともとミシン目が入っていた。ミシン目はいずれ切り離されるものです」

「維新伝心」の分裂の予感。

「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書」より

週刊新潮 2016年10月13日神無月増大号掲載

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