「童貞でも別にいいけれど」 百田尚樹のニュース放談(2)

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百田尚樹さん

■童貞率、処女率が4割

 前回に続いて、百田尚樹氏のニュース放談をお届けしよう。今回のテーマは、「性体験の無い男女」。国立社会保障・人口問題研究所の2015年の調査によれば、18~34歳の、交際相手がいない独身者の割合が、男性の69・8%、女性の59・1%に及ぶという。また、性交渉の経験が無い独身者が男性42%、女性44・2%で、増加傾向にあるとされている。

 新著『鋼のメンタル』で「女性にフラれることを恐れるな」と説いている百田氏は、この現状をどう見ているか。

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 いかに男女平等となり、「肉食系女子」などという言葉も使われる世の中になったとはいえ、こういう状況になっている原因は主に男性側にある、と私は思っています。

 女性の権利や地位が格段に向上した現代においても、女性の方からどんどん積極的に行くというのは今でも難しいでしょう。社会における男女の役割というのは、法律を変えたくらいで簡単に変わるものではないのです。文化的、社会的な観念というものは変化に時間がかかります。これは理想がどうとかということとは別の話で、実態としてそういうものだ、ということです。

 おそらくは女性に告白できない若い男性が増えている。その理由は、私は承認欲求と関係があるのではないか、と考えています。

 人間の欲にはいろいろなものがあります。金銭欲、権力欲、名誉欲等々。

 その中でも現代人は承認欲求が特に強いのではないでしょうか。SNSでやたらと自分のことをアピールするのも、そのあらわれのように見えます。

 問題は、告白して、フラれると、人格を徹底的に否定されたような気持になることです。承認欲求の強い人にとって、これは耐え難いことです。

「フラれたあとに、相手やその友人たちがバカにして笑うんじゃないか。それを想像したら耐えられない」

 そんなことを言う人もいます。

 しかし、『鋼のメンタル』にも書きましたが、そもそも告白しなければ、恋を手に入れることはまずできません。手に入らないということは、結果的にフラれるのと同じです。

 でも、告白すれば上手くいくかもしれないのです。ならば、やってみればいいじゃないですか。

 告白には1円もかかりません。そりゃあシチュエーションをしつらえるために経費はかかりかもしれませんが、そのくらいはケチらないほうがいいでしょう。

 そして、フラれることが怖いという人にぜひ言いたいのは、フラれることと、自分を否定されることは全然違うということです。

 そうであるならば、私などは数えきれないくらい存在を否定されてきています。

■口説くことで成長する

「セックスなんかしなくてもいいじゃないか。大きなお世話だ」

 そう言う人もいるでしょう。

 そう言われれば、その通りです。私もセックスなどは赤の他人に無理に薦めるものでもないと思っています。それにセックスなんかやらなくても死ぬことではない。禁断症状が出るわけでもなし。

 だから私は、経験のない人を下に見るつもりもないし、勧誘するつもりもないんです。

 ただまあ、セックスというのは人とのふれあいの究極形なんですね。お互いスッポンポンになって、すごい恰好をすることになるわけで、そこに持っていくまでには、いろいろなプロセスを踏まなければならない。村上春樹氏の小説の主人公のように、ある朝目覚めたら、ベッドの横に美人の双子が裸で寝ていたというようなことは、なかなか起こりません。キムタク級のイケメンならいざしらず、私のような不細工な野郎はそういう状況に持っていこうと思えば、様々な手練手管を駆使しなければなりません。

 言葉も大事、雰囲気を作るのも大事、表情や仕草も大事。

 動物なら、時期がくれば勝手にそういうことになるのですが、人間はそうはいきませんからね。

 つまり、そこに持っていくまでには、コミュニケーション力が必要になる。実際にセックスをするかどうかはともかくとして、そのコミュニケーション力を身に付けることは、生きていくうえで、とても意味のあることだとは思います。

「女にモテない放送作家は仕事ができん」というのが、私の若い頃の口癖でした。だって、目の前にいる、大好きなたった一人の女性の気持ちも掴めない男が、数百万、数千万の視聴者の心を掴めるはずがないでしょう。実際、全然モテない放送作家はダメでした。

 これは芸人でも、小説家でも同じですし、普通の仕事をしている人にも通じることなんじゃないでしょうか。「じゃあお前はよほどモテモテだったんだろうな」という質問は聞き流しておくこととしておきましょう。

デイリー新潮編集部

2016年10月12日掲載

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