豊洲移転延期の余波は吉野家にも 期間限定「松茸牛丼」

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特別メニューの松茸牛丼

〈ありがとう!築地市場〉

 これは牛丼の吉野家が11月の築地市場閉幕を見越して、期間限定で販売を始めた特別メニュー「松茸牛丼」の宣伝ポスターなどに刷り込まれた文言だ。今となっては間が悪いと言う他ないが、それはさておき、肉の専門家が何故、魚の専門家に謝意を示すのか。

 実は知る人ぞ知る話だが、吉野家の記念すべき第1号店は築地市場の一角で産声を上げたのである。

「今年は、市場移転に伴い、その創業第1号店がなくなってしまうという、吉野家にとってはメモリアル・イヤーです。そのキャンペーンとして、期間限定メニューが企画されました」

 と説明するのは、同社の企画本部の担当者だ。

「松茸牛丼が採用されたのは、まだ1号店しかなかった頃、松茸の初セリの日に、縁起物としてサービスで松茸を牛丼に入れていたというエピソードが社内で語り継がれているからです。9月15日から販売を始め、単品価格は700円です」

 もっとも、移転延期のとばっちりを受け、11月に終了するはずと思われた特別メニューは“止め時”を失っている。内心さぞや困っているのではないか。

「そんなことはありません。松茸牛丼のニュース・リリースは9月8日でした。小池都知事の移転延期表明の後ですから、謝意の文言をポスターから外そうと思えば、できた。しかし当初から削除するつもりはありませんでした。延期で整合性が取れなくなったと指摘する向きもありますが、今年がメモリアル・イヤーであることに変わりはない。松茸牛丼の販売も当面は続けていきます」

 何だか負け惜しみに聞こえなくもないが、いずれにせよ騒動の余波は思わぬ方面にも及んでいるのである。

「特集 地下に溜まった怪しい強アルカリ水! ピラミッドより謎多き豊洲の巨大建造物! 意味不明が多すぎる『豊洲のパンドラ』20の疑問」より

週刊新潮 2016年9月29日号掲載

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