16歳少年を殺害した東松山「カラーギャング」 活動は“烈戦塾”と“モグリ狩り”

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 嘘をついたり、電話やメールを無視した――。パシリをやらされていた16歳の少年は、それだけの理由で暴力の対象となり、ついには殺害された。犯人の少年達は如何なる生い立ちを経て「カラーギャング」に属し、どのような掟の元で無軌道な日常を送っていたのか。

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カラーギャング「パズル」のメンバー

 埼玉県東松山市内を流れる都幾(とき)川の河川敷で井上翼くん(16)の遺体が発見されたのは、8月23日午前8時頃のことだった。殺害容疑で逮捕されたのは、翼くんの遊び仲間だった少年A(16)、少年B(17)、少年C(15)、少年D(14)、少年E(15)の5名。そのうちAとBは、カラーギャング「パズル」のメンバーだった。

 事件で主導的な役割を果たしたBは東松山市立南中学校を卒業した後、定時制高校に進むも中退している。

「Bが本格的にグレだしたのは、中2の終わりか中3の初め頃で、バイクに乗ったり、万引きをしたりしていた。ただし、弟のDの面倒はよく見ていた」

 と語るのは、中学時代のサッカー部仲間である。

「グレたことと、彼の家庭環境は関係があるかもしれない。彼とDには、小学生の弟がいるのですが、お父さんが違うと言っていた。あと、Bはなかなか家に帰りたがらない。お母さんの男から“あんまり早く帰ってくるな”と言われていたみたいです」

 Bの母親の知人によると、

「確かに彼女は何度か離婚している。薬物関係の事件で捕まったこともあると聞いています」

 東松山市立南中学3年のCは一人っ子。

「Cくんのお父さんとお母さんは職を転々としていて、Cくんは小学生の頃から問題児として有名だった。最初は理科室のマッチをくすねてきて帰り道で火をつける、という程度だったのが、どんどん悪童ぶりに拍車がかかり、Cくんの子分以外は彼に近寄らないという感じでした。中学ではバスケ部に入ったけど、すぐに登校しなくなりました」(同級生の父兄)

 5人の中でただ一人川越市在住なのがE。ただし、

「中学2年の時に数カ月だけ東松山に住んでいたことがあり、その時にBやCと知り合った」(友人)

 Eは祖母と兄の3人暮らし。父親が女を作って出奔したため一時期、兄とともに施設に入れられていたが、不憫に思った祖母が引き取ったのだという。

「川越では暴走族のような組織に入っていたが、猫を殺して解剖していることがメンバーにばれて辞めさせられた」(別の友人)

 AはBの中学の同級生で、同じくサッカー部に所属。Bとは別の高校に進んだが、やはり中退している。

「AもBと同様、母親とうまくいっていない、と言っていました。僕が聞いていたのは、一緒に住んでいるのが実の母親ではなく、妹はその連れ子だということ。母親と妹とはほとんど口をきかない、と言っていましたが、お父さんとは仲が良かったみたいです」(先のサッカー部仲間)

 そしてAとBが所属していたのが「パズル」。今年春頃、少年院から出てきたばかりのBがまず入り、Bに誘われてAも入ることになったという「パズル」とは、如何なる組織なのか。

関係図

■烈戦塾とモグリ狩り

「パズル」の現役メンバーはAとBを含めて十数人だ。

「パズルがやることと言えば、まず、夏祭りなどのイベントで揃いの赤い服を着て練り歩く。それから毎週土曜日は“集会”と称して東松山駅に夜9時から2時間、タムロします」

 と、現役メンバーが言う。

「毎週月曜日には、“烈戦塾”がある。夜7時から2時間、市民体育館を借りて格闘技の練習を行うのです。グローブやミットは使いますが、ヘッドギアやプロテクターはなし。先輩と後輩が試合をする場合、後輩は手出ししてはいけないルールになっている」

 こうしたこと以外に「パズル」が常に行っている活動に「モグリ狩り」がある。

「パズルのメンバーではないのに東松山で改造バイクに乗っている奴、つまりモグリを見つけて狩るのです。具体的には、追いかけて前後を挟み、バイクを止めさせる。その後は3つのパターンがあって、①バイクを奪うか数千円で買い取る、②抵抗した人間は半殺しにする、③骨がありそうな奴だったらチームに引き込んでしまう。奪ったバイクは自分たちで乗るか、転売します」(パズルの関係者)

“半殺し”の方法には、今回の事件との類似性を感じさせるものもある。バイクを数千円で売ることを渋った人間をその場で殴りつけず、川に連れていくことがあるというのだ。

「パズルのメンバーに川に連れていかれ、彼らが口々に“こいつら、泳がせてみようか”と言うのを聞いて、やばい、殺されると思ってちょっと死を覚悟した」

 そう振り返るのは、「モグリ狩り」の被害者だ。

「しかしなぜかその話は流れて、近くの公園に移ることになった。公園への坂道を“お前ら、でんぐり返りで降りろ”と命令され、僕らはでんぐり返りで坂を転げ落ちた。彼らはその様子を見て爆笑し、最終的にはバイクも4000円で売るハメになりました」

 また、彼らが牙を剥くのは「外部」に対してだけではなく、

「理由もなくメンバーに制裁を加えることもある。以前、あるメンバーは先輩たちに呼び出されて沼に連れていかれ、“泳げ”と命令された。彼は泳げなかったので溺れ死にそうになり、さすがにヤバイと思った先輩が助けに入った」(先のパズルの関係者)

 パズルの「次期リーダー」になることが決まっていたというBは、翼くんをメンバーに入れようとしていたという。

特集「パシリ16歳少年を殺害した東松山『カラーギャング』の掟」より

週刊新潮 2016年9月8日号掲載