小池百合子はなぜ安倍官邸に嫌われたのか “小池派”誕生の可能性も

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「お祭りが白粉(おしろい)つけて待っているんでしょうから」と祭好きの夫をからかう妻が登場する夏の落語「佃祭」。そこへ行くと、進み出て罪を着ようとする演者が登場するなど、「小池百合子祭」は盛況のまま、千秋楽を迎えた。では、この選挙戦の間、安倍官邸による“口撃”を受け続けた小池元防衛相(64)は、なぜこれほど嫌われたのか。

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小池元防衛相(64)

 告示前から官邸の幹部は、

「(立候補は)本人の自由だが、どこの党にも決まりがある」(菅義偉官房長官)

「参院選の最中にこれだけ世間を騒がせ、党に迷惑をかけながら、執行部の留守中に紙1枚で(推薦願を)取り下げるというのは、公党を侮辱する姿勢だ」(萩生田光一官房副長官)

 などと、小池女史や彼女を応援する勢力に除名をちらつかせ、牽制してきた。むろん、選挙戦が始まってからというもの、

「ある候補はいきなり都議会を解散すると。少なくとも劇場型の人には都政を任すことはできない」(菅長官)

 こう舌鋒鋭く批判を展開中なのだ。それもこれも、河口湖の別荘で、内閣改造および党の人事構想を練る安倍晋三首相の意を受けてのことだが、

「安倍さんの小池嫌いが始まったのは……」

 と明かすのは、さる永田町関係者である。

「2012年9月、総裁選に出馬した石破さんを小池さんが支持したからと言われていますよね。でも実際は違うんです」

 それは07年、第1次安倍政権に遡る。

「当時、防衛相だった小池さんは、“防衛省の天皇”こと守屋さん(武昌次官)と、次の次官人事で激しく対立。この件で、小池さんは官邸への根回しをほとんどせず、政府与党内から『小池批判』が日を追うごとに高まって行く。更迭が取りざたされるなか、それを嫌がった彼女は記者団に対し、“一兵卒として安倍首相を支える立場で働きたい”と唐突に『引責宣言』を始めたんです」(同)

■「小池新党」

 更にその場で、

「私は辞めるって言っているのよ、わかる?」

 と言い募ったのである。

 官邸関係者のひとりが当時を振り返って、こう継ぐ。

「閣僚人事は首相の専権事項。にも拘らず、保身や自己の都合だけを考えたスタンドプレーに安倍さんは不快感を隠せない様子でした」

 ともあれ、乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に出た小池女史が都知事の座を射止めた。

 今後、どんな事態が想定されるのか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏の解説によれば、

「今回、都議の中には、小池さんを支持している人たちもいます。ポイントは、自民党が彼らを本当に除名するのか否か。その場合、彼らは無所属になるわけですから、小池系の会派を作る。となると、都議会内の対立は先鋭化していきます」

 これは都議会のみならず、国政にも伝播する可能性がある。というのも、

「比例選出の衆院議員である若狭勝さんが除名覚悟で小池さんを応援しており、党は『処分も辞さず』の構えだから。仮にそうなれば、小池さんの後釜を決める東京10区の補欠選挙に若狭さんが出馬し、自公が擁立した候補と対決するかもしれません。『小池新党』のような看板を掲げてね」(同)

 誰の傷が深いか浅いか致命的か。判断は祭のあとに持ち越されそうなのだ。

「ワイド特集 都知事選挙の『重傷』『軽傷』『致命傷』 『週刊文春』淫行疑惑が封印を解いた『週刊新潮』13年前の『被害女性』証言記録」より

週刊新潮 2016年8月4日号掲載

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