難題山積みの生前退位を可能にする“ウルトラC”とは?〈生前退位の大疑問〉

社会週刊新潮 2016年7月28日号掲載

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「生前退位」の意向を示された天皇陛下

 すでに報じられている通り、直近で天皇の「生前退位」が行われたのは1817年、光格天皇にまで遡る。1947年に制定された現行の皇室典範はもちろん、1889年制定の旧皇室典範にも、そうした規定はなかったのだ。

「まずは典範の改正が不可欠ですが、退位の自由を認めるのなら即位の自由も、といった議論は必ず沸き起こるでしょう」

 とは、皇室典範に詳しいさる法学者である。のみならず、

「小泉政権下では女性・女系天皇について検討すべく典範改正が俎上に載せられましたが、悠仁さまのご誕生で立ち消えに。また野田政権下では、将来的な皇族の減少に備え、女性宮家構想が喫緊の課題として浮上しましたが、こちらも自民党政権に交代して棚上げされたままです」(同)

 よって改正となれば、

「有識者会議が設けられ、どこをどう変えるのかという検討作業に移った際『過去に議論された箇所は盛り込まないのか』となるのは必至で、取りまとめに要する時間は想像を絶する。安易に手をつけられる類のものではありません」(同)

 というのだ。典範の16条には、〈天皇が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により、国事に関する行為をみずからすることができない〉場合に摂政を置くとある。こちらの“弾力的運営”も一案ではあるのだが、宮内庁関係者は、

「そもそも今回の件で、陛下のご意思に摂政という選択肢はありません。お立場だけ天皇のまま、ご公務は全うできないという不本意なお気持ちを抱かれながら、今後を過ごされるといったケースも、十分考えられるからです」

 そこで“ウルトラC”ともいえる「特別立法」の出番なのだが、これもまた、

「当面は一代限りの特別法で対応しても、もし次代以降、同じご意向の天皇が出てきたらどうするのか。それには皇族2名と国民代表8名からなる皇室会議で慎重に検討するようなシステムが必要です」(所功・京都産業大名誉教授)

 帯に短し襷に長し――。陛下は、国民に等しく“夏休みの宿題”を出されたかに拝察されるのだ。

「特集 『天皇陛下』生前退位に12の大疑問」より