「スイカレース」で意識不明も “猛暑の可能性大”な今夏の熱中症対策

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 今年の夏は、観測史上最も暑かった2010年と海や大気の状態が似ているとかで、猛暑の可能性大。ならば、つい先日もこんな事態が起きたのだから、熱中症に気を付けねば……。

 千葉県富里市で、6月26日に行われた「スイカロードレース大会」は、名産品のスイカを食べながら走るという、これまで33回続くイベントである。

 全国紙記者の話。

「レースは朝8時45分にスタートし、3キロ、5キロ、10キロの各コースで正午ごろまで行われました。参加者は小学生から85歳まで約1万2000人。そのうち約40人が体調不良を訴え、7人が熱中症とみられる症状で救急搬送されたのです。ドクターヘリも2回出動するほどで、意識不明で倒れた50代男性もいました」

 富里市役所によれば、レース中の午前11時の時点で、気温は28℃。それほど高くなくとも、油断はできないようだ。

 山野医療専門学校副校長の中原英臣医学博士は、

「気温だけ気にしがちですが、実は湿度が重要です。体温は、汗を掻き、蒸発する際に熱を外に逃がすという仕組みでコントロールしますが、湿度が高いと蒸発しにくくなるため、発汗しなくなってしまうのです」

 最近、室内で熱中症になるケースが増えたのは、かつての木造家屋から密閉構造に変わり、熱が籠ると同時に湿度が上がるようになったためだという。他にも注意すべき点はあるのか。

「ベビーカーに乗った乳幼児です。大人より地面に近いため、アスファルトの輻射熱を間近で受けてしまいます。あとは、当たり前ですが、暑いときに運動してはいけないんです。近頃は、この時期に行なわれる学校の運動会でも、熱中症に気を付けるようになったほどですよ。夏に野外で運動なんて、もっての外なのです」

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週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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