もう40歳ですが、整形をしたい。いい年をしてと言われそうで悩んでいます。――[瀬戸内寂聴 お悩み相談]

老いも病も受け入れよう~瀬戸内寂聴先生 お悩み相談~2016年5月27日掲載

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御年94歳! 作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん

 作家で僧侶である瀬戸内寂聴さんのもとには、毎日たくさんの悩み相談が寄せられます。寂聴さんが94歳で行きついた境地を語ったエッセイ『老いも病も受け入れよう』刊行を記念し、寂聴さんに届けられた相談のいくつかにお答えを頂きました。

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【もう40歳ですが、整形をしたい。いい年をしてと言われそうで悩んでいます。】

 寂聴先生、こんにちは。夫と小学生の娘が二人いる主婦です。私は子どもの頃からずっと意地悪そうに見える自分の一重まぶたがコンプレックスでした。幸い、子ども達はぱっちり二重の主人に似て、くりっとした可愛い目をしていて本当によかったのですが、家族の中で自分だけ二重でないことが苦しくて仕方なく、どうしても二重まぶたに整形したいのです。ですが、いい年して何言ってるんだ、と言われそうで言い出せません。私が考えていることはおかしいでしょうか。(40歳女性)

●自分の気持ちがよければいい

 私が小説に書いた管野須賀子と田村俊子は、百年も前の時代に二人とも整形手術をしていました。田村俊子は小説家で美人でしたが、より美人になるため隆鼻術をしています。でも当時は技術が下手なので冬になると鼻が紫色に変わっていたそうです。

 管野須賀子は若い思想家たちのデモで捕らえられた時、お巡りが、「何だ! お前のような鼻ぺちゃのくせに!」と言ったので腹を立て、刑務所から出るとすぐ整形手術をしたそうです。百年も前の時代の女性の勇ましいこと!

 こんな素敵な女の人たちがしていたなら、私も鼻を高くする手術をしようかと思ったこともありましたが、結局していません(笑)。

 けれど、コンプレックスになるんだったら、手術でもしたらいいんです。

「私なんか」と自分で自分をおとしめるのは、とてもつまらないことです。

 白髪が気になるなら染めればいいし、シミやシワがいやなら手術をすれば良いんです。他人が何と言おうと、気にすることはありません。悪口言う人が税金払ってくれるわけでもない。自分の気持ちが良ければいいのです。

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『老いも病も受け入れよう』は老いや病についてだけでなく、愛すること、別れること、生きること、そして死を迎えることすべてについて寂聴さんが94歳で行き着いた「すべてを受け入れよう」という境地が語られています。近年脊椎の圧迫骨折やガンの摘出手術などの闘病を乗り越え、これまで考えてきたこととはまた違った心境に至った寂聴さん。同書はこれまでの寂聴ファンも寂聴さんの言葉に触れたことのない人も、新鮮な気持ちで読める一冊です。

デイリー新潮編集部