株主総会シーズン到来 総会屋より厄介な「アクティビスト」「OB株主」

企業・業界週刊新潮 2016年6月16日号掲載

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 今年も株主総会の季節がやってきた。3月決算の上場企業2395社のうち773社の開催が6月29日に集中。ある者には晴れの舞台になり、ある者には審判の場になる。一大イベントを目前に控えた企業が恐れる存在が、今もある。

 ひと昔前まで、株主総会に付き物だった“総会屋”。だが、2度の商法改正により活動が制限されて“衰退”の一途を辿っている。5月20日に「株主総会特別警戒本部」を設置した警視庁組織犯罪対策部によれば、都内にいる総会屋は約170人。そのうち活動しているのはわずか20人ほどだという。最盛期は1700人以上いたわけだが、今や“天然記念物”並の存在になってしまったのだ。で、化学メーカーの総務担当者が言うには、

「目下、我々が警戒しているのはアクティビストと呼ばれる株主です」

 アクティビストとは、企業に積極的に提案を行う“物言う株主”を指す。

「旧村上ファンドの村上世彰さんがその代表です。コンサルタントや元金融マンなどが多いアクティビストは、総会屋と違って企業財務を勉強している。しかも、合法的な手続きに則って配当金の増額などを要求してくるので、株主総会や事前の対応を誤るとこちらが火傷しかねません」(同)

 東京証券取引所は昨年6月、上場企業に対し個人株主との対話を重視しての成長を促す、コーポレートガバナンス・コードの導入を命じた。これが結果的にアクティビストを増加させ、企業に新たな“厄介者”を抱えこませることになった。

「生保や年金基金などの機関投資家が利用する投資助言会社も、無視できない存在になっています」

 こう指摘するのは、経済誌のデスクだ。

「日本の銀行や証券会社も、投資の助言を行っているが、最近活動が目立つ米国の投資助言会社ISSは過激です。業績が落ち込んでいたり、逆に好調な業績に配当金が見合わない場合、企業が提案する議案に対して、株主総会前に株主に“反対票”を投じるように呼びかける。ISSは様々な議案に反対を推奨していますが、企業の役員たちが戦々恐々としているのが“役員選任案”です」

 4年前、オリンパスはISSから新社長就任を“反対推奨”されていた。そして昨年の株主総会の役員選任決議で、笹宏行社長(60)への再任賛成票は82・57%。一昨年は99・38%だったことを考えれば、16・81ポイントも低下した計算になる。これでは企業の重役たちが恐れるのも無理はない。

■社内事情に精通

 アクティビストや投資助言会社が“外患”ならば、“内憂”を抱える企業も少なくない。大手電機メーカーの総務担当者は頭を抱えながら、

「実は、退職したOBに悩まされているのです。多くの社員は退職と同時に株を手放したり、保有し続けても株主総会では“与党”であるのが相場でした。それが一部のOBは、株主総会に出席して元上司やかつての同僚に対してチクチク嫌味な質問をするのです。彼らは、社内事情に精通しているだけに怒らせたら大変。それだけに彼らへの対応には苦労しています」

 出世できずに定年を迎えたOBのこれも、“愛社精神”なのかもしれない。

「総会後、OB株主が“これで俺も株主総会デビューできた”とはしゃいでいる姿を見ると、何とも言えない気持ちになります。ですが、企業にも責任の一端があるかもしれません。数年前まで、大企業では株主総会前にOB株主を本社に呼び“説明会”と称して接待していた。経費削減を理由に中止した企業が少なくないのです」(同)

 ともあれ、株主総会でどんなドラマが今年は生まれるのか。“楽しめる”企業が例年より多い。