上司からの間違った指示にどう対処すべきか 佐藤優の教える「組織の掟」

社会2016年5月16日掲載

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上司が一生の敵に

 もちろん上司の命令が、コンプライアンス違反や違法行為である場合は話が別だ。そういうときは、人事部局に「上司の命令に従うと、会社に迷惑をかける可能性がある」という話をする。その場合は、あなたの意見が受け入れられる可能性が高い。

 しかしそういう理由もなく、どうしても上司に従いたくないという場合には、異動する以外に方法はない。辞表をつけた進退伺いを人事担当局に提出し、異動を願い出る。最低限、これくらいの対応をしないと、個人的な理由で人事異動が認められることはない。

 もっとも進退届けを出せば、「辞職を承認する」という回答が会社から来る可能性があることは十分に覚悟しておくべきだ。

 また、この手法で人事異動に成功しても、軋轢を起こした上司は、あなたが退職するまで敵になることを覚悟しなくてはならない。

 いずれにせよ下剋上を起こした者を歓迎しないのが日本の組織文化だ。たとえコンプライアンス違反であったとしても、長いスパンで見ると上司を「売った」人はラインから外される可能性が高い。

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 何とも身もふたもない助言だと思われるかもしれないし、「時代錯誤だ」と憤る向きもいることだろうが、これが外務省という組織で佐藤氏が学んだ「組織の掟」である。

 もっとも、件の便所掃除に関していえば、佐藤氏は別の掟を利用したうえで、最終的には免除を勝ち取っている。詳細は省くが、より高い位置にいる上司を利用したのだ。つまり別の力学を用いたのである。

 組織人が生き抜くためには、法律とは別の「掟」を熟知する必要がある、と佐藤氏は語っている。

デイリー新潮編集部

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