鹿児島県「悪石島」、沖縄県「南大東島」と「大神島」 ゴールデンウイークに目指す「日本の秘島」7選(3)

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 旅行作家の斎藤潤氏が紹介する「日本の秘島」7選も、残すところあと3島である。このゴールデンウイーク、海外や温泉地ではなく、たまには島へ出かけてみるというのはどうだろう。

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 東京都の国立市と同じ大きさの悪石島(あくせきじま)(面積7・49平方キロ)は、2日もあれば全ての道を歩き尽くし、島を制覇した気分になれます。

 この島は、鹿児島県から南に奄美、沖縄と続く途中に位置しています。7つの有人島で構成されたトカラ列島の中央部にあり、亜熱帯の気候に属しています。

 鹿児島港から週に2便しかない十島村村営の「フェリーとしま」で約10時間。まさにまとまった休みがないと行きづらい島でしょう。

 外界とはかけ離れた島だけに、新暦、旧暦、七島正月と、3つのお正月が別々にあったり、独自の風習や文化が温存されています。

 そんな島のウリは、豊かな温泉でしょう。断崖絶壁に囲まれ、ほとんど平地のない火山島という地の利を生かして、男女別の露天風呂を備えた温泉施設のある湯泊温泉、海岸の岩間から湯が湧き出る海中温泉、地熱を利用した砂蒸し風呂と3つのタイプが楽しめます。

 お風呂でさっぱりした後は、お腹が空く。トカラの島々は大物を狙う釣り師が訪れることで知られるように、船で沖合に出なくても桟橋で大物の魚がいくらでも釣れます。

 島独特の海産物としては、トビウオやサワラの燻製が美味ですが、変わったものなら、琉球竹という筍を味わうことができます。個人的には、日本一美味しい筍だと思っています。

■南大東島の「大池」と「星野洞」

 南大東島(同30・57平方キロ)は、台風がよく来るので天気予報で、聞き覚えのある方も少なくないはずです。沖縄本島から360キロも離れていて、交通手段は飛行機か船です。飛行機は、那覇から毎日出ていて片道1時間。同じく那覇から夕方に出る定期船「だいとう」は、週1~2便しかない上、片道15~17時間もかかります。

 南大東島は、環礁が数回の隆起を経てできた島で、今回ご紹介した島々とは異なる独自の自然が残っています。是非とも足を運んでほしいのが、島の北部にある大池(写真(1))です。

[写真(1)]南大東島(沖縄県)の北部にある大池

 離島の宝庫と言われる沖縄にあって、約40へクタールある大池は県内最大の湖沼です。しかも池の中には4つの島がある。つまり絶海の孤島の中に島があるというわけです。そんな池の北側には、オヒルギというタコ足の珍しい植物が数千本も自生してマングローブを形成しています。本来は海岸に生育する植物にもかかわらず、海と接していない池に生育していることから、世界的にも珍しいとして国の天然記念物に指定されています。

 もう一つのお勧めは、鍾乳洞「星野洞」(写真(2))です。島には120もの鍾乳洞があるとされ、その中で最大級の面積を誇る星野洞は、長さ375メートル、約1000坪の広さ。狭い空間を縫って潜り込むと、鍾乳石に圧倒されます。別の鍾乳洞には、石柱の陰に隠れて碧い水が浮かび上がった地底湖を持つものまである。こんな幻想的な光景の真上には、どこまでもサトウキビ畑が広がっているのです。

[写真(2)]島には120もの鍾乳洞があるとされ、その中で最大級の面積を誇る「星野洞」

 島の基幹産業は観光よりも、島の畑の9割を占めるサトウキビ畑です。サトウキビのおかげで島全体が栄えてきたため、夜の繁華街もあります。なぜかフィリピンパブもあって、昼間サトウキビ畑で彼女たちとすれ違う際、「ハーイ」なんて挨拶されると、ここが日本であることを忘れてしまうくらいです。そんな島独特の味についていえば、名物は沖縄そばに近い「大東そば」やワサビが取れないため練りがらしを使って食べる「大東寿司」で、10年ほど前からサトウキビを原料にした無添加無着色のラム酒「コルコル」も新しい島の名産となっています。

■神様の島「大神島」

 沖縄の数ある離島の中でも多くの観光客を集めているのが宮古島です。最後にご紹介する大神島(おおがみじま)(同0・24平方キロ)は、宮古島の北約4キロにある離島のさらに離島と言うべき存在です。

 宮古島の島尻漁港から1日5往復の定期便が唯一の交通手段で、所要時間は約15分です。以前は宿がなかったものの、今では唯一の食堂に民宿が併設されるようになったこともあり、じっくり島に滞在することが可能になりました。

 ここの特徴は、何といっても名前が表すように神様の島だということ。集落を外れた至る所が神様のいる聖地となっています。この島で行われている「祖神祭(うやがんさい)」は、今でも島民以外に全く公開されない神事です。神事が行われる日は、島へ渡ることはできますが、立入りが出来ない場所があります。

 そんなことから、若い女の人たちの間でパワースポットとして注目されている島ですが、普段は一般の観光客が訪れることは多くありません。ですから、実際に足を運ばれる場合、島の神がいることを念頭に、島民や自然に最大限の敬意を払って行動したいものです。

 連休の時期は、遊歩道が整備された標高75メートルの遠見原に登れば、島を囲む大海原を360度見渡すことができます。遠くには宮古島、手前にはエメラルドグリーンのサンゴ礁が広がる宮古諸島ならではの景色を楽しめる。そして、島へ足を運んだら是非とも見てほしいのが奇岩、ノッチ(写真(3))の一群です。島の周囲にあって、海の作用の関係で岩の下の部分だけが抉れており、まるでキノコのような不思議な形になっています。干潮時にはより一層、この不思議な形状が目立つ。潮の干満の差が最も大きくなる大潮の時期は、干潮時に海面は一層下がってゆくので、サンゴ礁の景色と合わせてより奇岩の良さが際立つと思います。

[写真(3)]島の周囲にある奇岩、ノッチの一群

 これらの秘島へ行くには、交通手段が限られ時間もかかる。普段は乗り慣れない船を使うことになりますが、海の上では夜空に浮かぶ満月や、水平線に沈む朝日や夕日に出逢えるかもしれませんよ。島へ向かう時間も存分に楽しんでもらいたいものですね。

「特別読物 ゴールデンウイークだから『日本の秘島』7選――斎藤潤(旅行作家)」より

斎藤潤(さいとう・じゅん)
1954年、岩手県生まれ。東京大学文学部卒業。学生時代は島と僻地を巡る旅に明け暮れる。JTBで月刊誌「旅」や旅行情報誌の編集を経てフリーに。『日本《島旅》紀行』など島に関する著書多数。

週刊新潮 2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号掲載