北島康介引退後 第2の人生「トレーニング器具会社」代表の年収は?

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 タレント、キャスター、飲食店の経営者……。現役生活を退いたアスリートが進む“第2の人生”は様々だが、水泳の北島康介(33)が選んだのは実業の世界だった。シドニー、アテネ、北京、ロンドンと4大会連続で五輪出場を果たし、合計4個の金メダルを手にした天才スイマーは、ビジネスの世界でも成功できるか。

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水泳の北島康介

「なかなか簡単な言葉では言い表せません。ただ一つ言えるのは、幸せな選手生活を送らせて頂いたということです」

 4月10日に行われた引退会見で、北島は28年間の競技生活を振り返った。運動部記者によると、今後の身の振り方はすでに決まっているそうで、

「彼は現役時代に2つの会社を設立しています。当面はその経営に当たると見られていますね」

 北島が代表を務めるのは、2009年6月に設立した「IMPRINT」と、昨年3月に設立したばかりの「パフォームベタージャパン」という2社である。

「IMPRINTは、北島本人を始め、柔道の金メダリストの野村忠宏選手(41)やスノーボードアルペンの銀メダリストの竹内智香選手(32)らのサポートやマネジメント、そしてスイミングクラブの運営が中心です。一方のパフォームベタージャパンは、スポーツトレーナーの養成の他、全国のスポーツ施設にトレーニング用具を販売するのがメインの事業です」

 現時点では、北島はIMPRINTを他の役員に任せて、自身はパフォームベタージャパンの経営に専念すると見られている。

「パフォームベタージャパンは、91年にアメリカで設立されたパフォームベター社の日本法人で、本社が独自に開発したメソッドや運動器具が最大のセールスポイント。また、養成の対象者は日本体育協会が認定するアスレティックトレーナーや理学療法士などの有資格者。定期的に外部から指導者を招いて講演会やセミナーを開き、確実なスキルアップを目指しています」

 プロ野球のOBが思いつきで焼肉店を始めたり、元Jリーガーが無軌道にスポーツバーを開店するのとはワケが違うのである。

■金看板

「なかなか、良いところに目をつけたと思いますよ」

 と評価するのはスポーツ評論家の玉木正之氏だ。

「日本では、まだまだ指導者やトレーナーがスキルアップの講習を受ける機会が不足しています。一方で2020年の東京五輪が近づけば、それに触発されて子供向けの水泳スクールや体操教室など様々な需要が拡大していくでしょう。つまり、質の良いトレーナーやスポーツ設備の充実というニーズは今後、確実に増えていくと考えられるのです」

 スポーツ紙デスクが後を引き取る。

「現在、日本のスポーツ産業は5・5兆円の市場規模ですが、政府は今後の10年でこれを2~3倍に拡大させる方針を固めています。スポーツジムの経営者として成功しているタレントのヒロミの年収は約1億5000万円と言いますが、北島には金メダリストという金看板がある。そのため、仮に競合他社が出て来ても信頼感という大きなアドバンテージがあります。スイミングクラブと人材育成、そして物販という3本柱があれば、今後5年間は年1億円から2億円以上の収入が見込めるでしょう」

 北島が引退を決めたタイミングは、ビジネスには打ってつけだったのである。

「ワイド特集 カエルの楽園」より

週刊新潮 2016年4月21日号掲載

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