シャープにも五分の魂だ! 「蚊取り空気清浄機」

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 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との支援交渉が大詰めを迎えるシャープには、久しぶりの明るいニュースに違いない。蚊を取る機能を備えたプラズマクラスター空気清浄機『蚊取空清』が話題になり、発売前から問い合わせが相次いでいるという。

 4月23日に発売される『蚊取空清』は紫外線を放出して蚊を集め、空気清浄機の気流で吸引し、粘着シートで捕獲する機能を持つ。薬剤を使わない蚊取り空気清浄機は世界初で、シャープの売り文句は“子供のいる家庭でも安心”だ。

『蚊取空清』はマレーシアの販売会社からの要望で開発した製品。東南アジアで昨年9月に発売すると、日本円で4万3500円という高額商品にもかかわらず、約半年間で予想の2倍を売り上げたのだ。シャープの広報担当者によれば、

「2年前、わが国でもデング熱騒動が起きましたが、東南アジアの人々の蚊に対する恐怖は日本人とは比較にならない。毎年、蚊を媒介にしたマラリアやジカ熱などで命を落とす人が少なくありませんからね」

 販売価格は5万円前後を想定しているが、東南アジアより高いのは、

「フィルターの高機能化に加えて、粘着シートを二つ折りにして蚊の死骸を触れずに捨てられるように改良したためです」(同)

 電機業界担当アナリストが分析するには、

「販売予定の3000台は完売が予想され、世界的な大ヒット商品に化ける可能性があります。実は、シャープには売れ筋商品が少なくないのです。2年前に発売した“挽きたての抹茶が楽しめる”『お茶プレッソ』も大人気。液晶テレビに資本を集中投下していなければ、買収されることはなかったかもしれません」

 時すでに遅し。だが、シャープにも五分の魂か。

週刊新潮 2016年3月31日号掲載

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