“なでしこ散る!”も「澤穂希」はひと花

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 あれよあれよ、まさかまさか、なでしこジャパンがリオ五輪予選で敗退してしまった。昨年のW杯銀メダルが嘘のような、無様極まる戦いぶりだった。

 ただ、そんな予選中、一人だけ輝きを放った女がいた。12月に引退したレジェンド、澤穂希(37)である。

ピッチ外でも勝負勘抜群

「“やっぱり澤がいないとダメ”なんていう声を聞きますが、澤がいても結果は同じだったでしょう。アジア各チームのレベルが急伸してましたし、そもそも澤はW杯でも既に戦力に数えられてませんでしたから」

 と大手紙サッカー担当記者は断じるのだが、

「意地悪な言い方になりますが、彼女は自分の見せ方がとても巧かった」

 どういうことか。

「初戦オーストラリア戦に負けた時点では、我々メディアも選手たちも澤のことなんて気にしていなかったんです。澤自身も、観戦はしていたものの特に目立った動きはなかった」

 ところが、次の韓国戦を引き分けて自力での出場が消えたその翌日、公開練習に澤が登場して空気が一転。

「餌に群がる飢えた鯉の如く、カメラや記者など40人ほどがどっと澤を囲みました。精神的に追い詰められた選手たちも然り。ロッカールームで各人に声を掛けたそうで、口々に“澤さんが……”と。主将の宮間は涙ぐみ、まるで神が降臨したかのような光景でした」

 かつて、かのキング・カズが澤に“ゴッド”の愛称を授けたのも納得である。

「中継での解説やメディアに発したコメントも巧かった。普通は“よく頑張っている”などと後輩たちを庇うものですが、澤は“気持ちが足りない”とピシャリ。でも、この辛辣さが視聴者のモヤモヤを吹き飛ばしたのです」

 早くも監督待望論がちらほら。きっと就任のタイミングも絶妙なんだろな。

週刊新潮 2016年3月17日号掲載

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