USA「女子サッカー」はなぜあんなに強いのか――林壮一(ノンフィクションライター)

スポーツ新潮45 2015年11月号掲載

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 実は本国ではサッカーは人気がない上に、ビジネスとしても成立していない。

 それがなぜあれほど強いのか? カギは「教育システム」にあるという。

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 この夏の話題を独占した感のあるサッカー女子ワールドカップ。7月5日にシルバーメダルを手にしたものの、なでしこジャパンはアメリカ女子代表に、まるで歯が立たなかった。

 フィジカルの強さもボールの支配率も、大人と子供ほどの差があった。開始から16分で4失点。そのうち3点を、ベテランMF、カルリ・ロイドに決められた。

 何より違ったのは、アメリカ選手は常にゴールを意識していることだ。なでしこが少しでも隙を見せると、どの位置からでも迷わずシュートを放つ。ロイドがハットトリックを決めたアメリカの4点目は、日本のGKが前に出ていることを確認し、55メートルのロングシュートをネットに突き刺したものである。

 一人ひとりのメンタルが磨き抜かれている。それほど、アメリカ女子代表の強さは際立っていた。

 とはいえアメリカ女子代表選手は、なでしこほど国民に認知されていない。女子ワールドカップは91年に開催された第1回から、今回のカナダ大会まで計7回開催されているが、アメリカ女子代表がメダルを獲得しなかったことは一度もない(優勝3回、準優勝1回、3位が3回)。女子の場合、ワールドカップ以上に価値があるとされる五輪にいたっては、96年のアトランタ、04年のアテネ、08年北京、12年のロンドンと4度の優勝を誇り、00年のシドニーでも決勝まで進出している。圧倒的な記録を残しながらも、アメリカ合衆国においてサッカーは、男女共に人気スポーツではない。

「優勝パレードは人を集めたみたいだけれど、まったく話題になっていなかった。僕の中学生の娘も、彼女のクラスメイトや親たちも関心が無いね」

 そうニューヨーク在住のフォトグラファーが話すように、女子ワールドカップ・カナダ大会の勝利も、市民には他人事だったそうだ。

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