就活スタートに「青い商人」の手前味噌

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 3月1日の日本経済新聞朝刊を開いて、ビックリした人も多いに違いない。見開き2面の大広告。左にコート姿の男性のイラスト、右には〈青い商人〉の文字。これ、総合商社・伊藤忠商事の広告なのだ。

 文章は「僕」の一人語りだ。配属早々〈青く生意気な物言い〉をした1974年入社の「彼」は、のちに“ブランドビジネス”モデルを考案。斜陽の輸入繊維部門だけでなく、伊藤忠の事業全般に拡大し、社業に貢献した。

 別会社に出向した「僕」は思う。「彼」は〈ますます勢いに乗っている〉〈態度も相変わらず生意気らしい〉が、商人に大切なのは、「彼」の持つ〈突き抜けるチカラ〉なのではないか、と。

 そして〈伊藤忠商事は2010年、彼、岡藤君を社長に迎えた〉――ナニ、主人公は岡藤正広社長(66)だったのか!

「14年3月から“ひとりの商人、無数の使命”というコーポレートメッセージを打ち出した広告を展開中です」(伊藤忠商事)

 今回は第4弾“ある商人”の3回目。これまで二代目伊藤忠兵衛、“中興の祖”越後正一元社長を取り上げたが、なぜ、現社長を?

「過去から現代まで、経営者がどんな思いを持っていたかを表現してきましたが、第4弾の最後は今の社長でいくことにしました」(同)

 16年3月期連結決算予想では、純利益で三菱商事を抜いて業界トップに躍り出る伊藤忠。その牽引役が岡藤社長なのはわかるけど、

「様々な方の客観的な意見を聞いた上での判断」(同)

 と、堂々たる手前味噌!

 この日は、来春入社の就活スタート日。広告は、こんな言葉で終わる。〈岡藤君。最近あの頃のきみのような、生意気な眼をした若者に会ったかい?〉――。

週刊新潮 2016年3月10日号掲載

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