新東名55キロ開通“歴女”で沸く「奥三河」

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 日本史の教科書でおなじみの長篠の戦いや、歴女注目の、柴咲コウ主演が決まった来年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』の舞台となる井伊谷城や龍潭寺――。

 これらの史跡は、新規開通となった新東名高速道路・浜松いなさジャンクション(JCT)と豊田東JCT間の55キロ、奥三河エリアに点在している。

「所管するNEXCO中日本の集計によれば、2月13日の開通から19日までの交通量は、1日あたり東名で5万台強、新東名で5万台弱。計約10万台となり、開通前より全体で1割も増えましたが、目立った渋滞や事故は今のところ起こっていません」(社会部記者)

 この結果、通常4時間強を要した東京・名古屋の所要時間は、約1時間も縮まったという。カーブや急勾配を避けて、広い道幅にトンネルを活かした高規格の道路が功を奏した格好だが、新東名の工夫はこれだけではない。日本初となる、歴女垂涎の“お休み処”が誕生したのである。

「愛知県新城市に新設された長篠設楽原(したらがはら)パーキングエリアは、武田勝頼率いる騎馬軍団が、織田信長・徳川家康連合の鉄砲隊に敗れた対決を再現すべく、上り線が武田本陣、下り線が織田・徳川連合の本陣を模した造りになっています」(同)

 開通後初の週末は、駐車場が満車状態になることもあった。予想以上の反響にえびす顔なのは、運営する中日本エクシスの担当者だ。

「信長が考案した馬防柵の再現や火縄銃の展示に人気が集まっています。ここは高速道路の外からもお客さんが入れますが、ハイキングついでに徒歩で来られる歴史好きな方もいます。売店では、1本1万6000~9万円相当の模擬日本刀を販売しているのですが、20代の若い女性が2本もお買い上げになりました」

 フードコートに足を延ばせば、武田の菱の紋所を模した戦国コロッケや、家康の好物とされる鯛の天ぷら入りの家康丼が味わえる。武者の兜をあしらった自販機は、お金を入れると、“疾(はや)きこと風の如く”と信玄がしゃべり出し、対する信長は“人間50年〜”という名セリフを語るといった凝り様なのだ。

 駿馬に跨る武将の気分になっても、アクセル全開だけはご法度ですゾ。

週刊新潮 2016年3月3日号掲載

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