“ニーハオトイレ”と訣別なるか「中国便所革命」

中国週刊新潮 2016年3月3日号掲載

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 戦国武将・上杉謙信は厠で死んだ。死因は脳卒中と言われるが、作家・柴田錬三郎は、信長の放った凄腕忍者が謙信を下から手槍で貫いたのだとした。日本人にとってトイレはパーソナルな場所、そんな奇想も成り立つが、お隣中国ではそうもいかぬのだ。

「中国でまず驚かされるのはトイレ事情です。ドアがないどころか間仕切りもないトイレが数多く存在し、地方に行くと、一本の溝に数人が跨がる“ニーハオトイレ”がまだまだあるのです」(現地在住のジャーナリスト)

思わぬところで「こんにちは」

“ニーハオ”すなわち「こんにちは」。各家庭にトイレがなく、共同便所が一般的な地域では、ことのさなかもご近所方がお尻丸出しで談笑する風景が見られるそう。

 おかげでこれまでさんざんジョークのネタにされてきた中国の便所だが、

「政府も本腰を入れるようです。“トイレ革命”と称して2017年までに古いトイレ2万4000基を改修し、新たに3万3000基を設置するそうです」(同)

 国家観光局がプロジェクトに投じる費用は125億元(約2200億円)。マナー違反者は“ブラックリスト”に載せると鼻息が荒い。

 だが中国に詳しいジャーナリスト高口康太氏は言う。

「08年の北京五輪の際も中国は“トイレの近代化”に取り組みました。“格付け制度”を導入し、液晶テレビや無線LANのあるトイレを“5ツ星トイレ”などとしました。が、なにせ中国では物の劣化が早い。メインテナンスが充分でないため作る端から汚れるし、壊れてもそのまま。配管が細い、紙質が悪い、水不足など、悪条件も多いのです」

 昨年、トイレを成長戦略の一つとした「トイレ大国」日本。手を貸したいところだが、「こんにちは文化」の壁は厚そうなのだ。