「沖田浩之」36歳で謎の自死に隠されていた「8000万円」の抵当権

エンタメ 芸能 週刊新潮 2016年2月25日号掲載

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 1980年代に社会現象となった「竹の子族」から飛び出した、俳優の沖田浩之は、僅か36歳で自ら命を絶った。当時、世間はその理由を「女性問題」「俳優業に絶望」などと想像交じりに漠然と報じたが、ついぞ真相は明らかにならなかった。が、17年の時を経て、親族の1人が本当の理由を明かした。

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「沖田君が亡くなった原因は、はっきり言って借金の問題ですよ」

 と、断言するのは沖田の叔父である。沖田は99年の3月27日に、神奈川県川崎市内の自宅で縊死(いし)している姿を家族に発見された。

「葬儀は4日後の31日に営まれ、多くの芸能関係者が参列してくれました。中でも弔辞を読んだ奥田瑛二さんは見事で、弔辞の紙を広げているんですが、何も書かれていなかった。それでもスラスラと沖田君との思い出を語り出すものだから、“さすが役者さんだなあ”と感銘を受けたのを覚えています」

 斎場には、沖田が所属していた事務所社長の津川雅彦(76)の姿もあった。

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「津川さんからは“昨日、浩之君と酒を飲んだ時、役者として悩みを抱えていた彼に厳しいことを言ってしまった”と懺悔の言葉を頂きました。自分の叱責が自殺の原因ではないかと悔いていたのです。確かにそれも、沖田君の死と関係があったかもしれません。でも、本当の理由はやっぱりお金。葬儀の夜、沖田君の4歳年上のお兄さんが、私らの前で涙ながらに弟の死の理由を告白していたんです」(同)

 人気俳優の突然の死に、東京・品川区の桐ヶ谷斎場には多くのファンや取材陣が押しかけた。そのため親族たちが一息つけたのは、すっかり日が暮れてからのことだったという。

「私たちが棺桶に花を入れながら、それぞれ別れを惜しんでいた時のことです。突然、お兄さんが堰を切ったように泣き出して“俺に責任があるんだ。浩之には借金の連帯保証人になってもらっていた”と言ったのです。何も知らされていなかった私たちも驚きましたが、沖田君の奥さんも全く知らされていなかったようで、相当ショックを受けた様子でした」(同)

 沖田は、神奈川県の川崎市内で不動産業やゴルフ会員権を扱う会社を経営する、裕福な家に生まれた。自殺した当時、会社は兄が継いでいたが、その業績は決して順調ではなかったという。ベテラン芸能記者が振り返って言う。

「沖田が死ぬ3年前の96年に、経営を退いていた父親が、会社を傾かせた長男を心配して“俺の保険金で負債を返済しろ”と言い残して自殺したのです。以来、沖田にも巨額の借金があるのではとの噂が、事あるごとに取り沙汰されました」

 燻ぶり続けた沖田の実家にまつわる経営不振説。が、沖田の兄は親族に衝撃的な告白をした後も、表向きは弟の借金苦を否定し続けた。

「お兄さんは集まった記者を前に、“父の事業を引き継いだのは私です。借金を含めて遺産を相続したのは私個人であって、弟は一切、関係していません”“弟は実家の土地と建物を相続したに過ぎない。借金で首を吊ったのではないことは、あいつの名誉のためにもハッキリ言わせてもらいます”と断言した。棺を前にした堂々とした物言いに、疑いの目を向けていた記者たちも反論できなかったのです」

 こうして沖田の“借金苦による自殺説”は急速に萎んでいったのである。

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