3年連続値上げでも株価上昇の「オリエンタルランド」

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 東京ディズニーランドが、今年4月に開園33年を迎える。“夢の国”を謳うだけあり、現実の経済情勢とは無関係なのか。東京株式市場が全面安となったこの日も、運営母体であるオリエンタルランドの株価は上昇したのだ。

 ご存知のように2月9日の東京株式市場は売り一色となり、日経平均株価の終値は前日比918円86銭安の1万6085円44銭だった。実は、その前日にオリエンタルランドは、4月1日からの入園料値上げを発表している。

 4月1日からの入園料は、1日利用券で18歳以上は6900円から7400円に、それ以外も400円上がる。2年前の消費税増税時を含めると3年連続で、実に都合1200円も値上げされる計算だ。

 最悪のタイミングでの発表と思われた。が、オリエンタルランド株は、9日の取引で前日比191円高の8000円で商いを終えたのだった。

「全面安の中での株価が上昇したのは、ブランドの底力でしょう」

 こう分析するのは、証券会社のアナリストだ。

「オリエンタルランド株上昇の理由は2点ある。1点目は、個人株主の株主優待狙い。3月末時点で100株以上を保有し、株主登録していれば株主パスポートが1枚もらえます。登録手続きを考慮して、“2月中に株主になっておこう”という投資家心理が買いに走らせたのです」

 意外にも、入園料値上げの理由も好感されたという。

「オリエンタルランドは値上げの理由を“ハード、ソフトの両面に投資し、更なるクオリティの向上を図るため”としている。普通なら株価の下げ材料になるが、アトラクション新設などを期待させる内容だった。それをマーケットが好材料と判断したわけです」(同)

 逆に、その“期待”に応えられなければ、

「ライバルのUSJのようにアトラクションを新設し続けなければ、お客ばかりか、投資家からも見放されてしまいます」(同)

 夢の国を維持するのも、大変なのである。

週刊新潮 2016年2月25日号掲載

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