菅官房長官“してやったり”「宜野湾市長選」の盟友

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 ゾウの鼻はだてに長いわけではない。ヒトの5倍もの嗅覚で餌や敵の在処を嗅ぎ分け、過酷な環境を生き延びてきた。

 もっとも、有象無象が集う「政治家」と呼ばれる人種も、鼻が利く。

菅義偉官房長官

 沖縄・宜野湾市長選から一夜明けた1月25日、菅義偉官房長官はご機嫌だった。

「朝、官邸に入る際、市長選の感想を記者団に求められると、『結構、差が開いたでしょ?』と、得意気な表情で答えていました」

 と、政治部記者。

「当初は劣勢が伝えられていた自公推薦の現職が、普天間基地の辺野古移設に反対する新人候補に約6000票の大差をつけて勝ったわけですが、菅さんにしてみれば、してやったり。彼が押さえるべきところを押さえた結果ですからね」

 勝敗を左右したのは、意外にも、おおさか維新の会の下地幹郎代議士だったという。

「この市長選は、仲井真弘多前知事と翁長雄志現知事が基地問題で争った一昨年の知事選と同じ構図でした。その際、宜野湾で約1万9000票を得た仲井真さんに対し、翁長さんは約2万2000票で勝っていたので、今回も新人が有利と見られていました。が、下地さんが約4000票を取っていたんです。つまり、その下地票が現職と新人のどちらに流れるかが、鍵だった」(地元政界関係者)

 それを嗅ぎ取ったのが、菅氏だった。

 先の記者によれば、

「下地さんに現職側へつくよう要請し、こまめに連絡を取り合って情勢を分析していました。おおさか維新の会は党としての態度を決めていないので、下地さんも表向きは、どちらの陣営にも加担していないことになっていますが、実際は彼の票のほとんどが現職側に流れた。自民から国民新党、維新の党と渡り歩いて、気づけばおおさか維新の政調会長に収まっていた下地さんもまた、鼻が利く。勝ち馬に乗りたい彼と、何としても市長選をモノにしたかった菅さんの思惑が一致したというわけ」

 かくして、シンゾウ総理に軍配が上がった。

週刊新潮 2016年2月4日号掲載

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