ISの日本語ビデオと伊勢志摩サミット 日本列島が蒼ざめる「最悪シナリオ」2016(7)

国際週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

 鉄砲を持った無鉄砲なIS(イスラム国)がジハードを慫慂(しょうよう)する、まがまがしきビデオに日本語版が加わるとき。16年5月下旬に開かれる「伊勢志摩サミット」がテロのターゲットとなる可能性がいや増すのである。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏によると、

「後藤健二さんが拘束された際、日本政府への揺さぶりのかけ方が実に手馴れていた。その点からもIS内に日本人がいるのではと囁かれており、『日本人の、日本語による日本向け宣伝動画』が生まれる素地は整いつつあります」

 暑熱荒涼たる砂漠をバックに、銃を手にした男が吼えるお馴染みの画像かと質(ただ)すと、そうではないと言う。

「公安警察がマークする、数少ないイスラム教徒よりも、社会に恨み辛みを持つ不満分子の方が動かしやすい。だから、そのための“画作り”を考えるはず。娯楽色を出し、“お前ならできる”とメッセージを加え、『パイプ爆弾』のように複雑でない爆弾作りまでを指南するのです」(同)

 よく知られるように、ISはネットに転がる画像を自在に取り込んで編集して使っている。親近感を出すため、日本語版の背景には渋谷のスクランブル交差点が砂漠に取って代わるかもしれない。ともあれ、罪の意識を感じさせぬ宣伝動画に感化された連中は、伊勢志摩サミットの期間中、どう振る舞うか。

「会場は島だから、橋の警備を固めれば陸からの侵入は無理。逆に海から接近を試みても、それは想定内で上陸は難しい」(同)

 ならばどうするか。

「全国から機動隊が集結する会場を狙わなくても、人が集まる場所に時限装置付きの爆弾を置くだけでいい。それで十分な宣伝効果が得られますから」(同)

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏も同様に、「会場急襲は非現実的」として、

「ISの考えは、“アメリカ人を殺してなんぼ”ですから、狙われるとしたら東京のアメリカ大使館に出入りする職員や横須賀基地などの周辺にたむろする米兵が対象となるでしょう」

 動画をアンチョコに自宅で爆弾を作る個人が無数となると、公安も手に負えないのである。

「特集 日本列島が蒼ざめる『最悪シナリオ』2016」より